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平成史上最悪の被害、「平成30年7月豪雨」、初動が遅すぎた安倍政権

 

 

 

13府県で死者130人、行方不明者74人、心肺停止が3人と、台風7号の九州接近に伴う豪雨は数多くの被害者を生んだ。死者が100人を超えた豪雨災害は「昭和58年7月豪雨」と言われる、島根県を中心に発生した災害以来で、平成史上では最悪の被害数となった。

 

気象庁は7月9日、これを「平成30年7月豪雨」とした。今回の豪雨では、気象庁は「大雨特別警報」を出していた。この警報は数十年に一度の重大な災害が予想される場合に出されるもので、大雨特別警報そのものが重大なアラームである。

 

 

気象庁が鳴らし続けた警報


このアラームが7月6日から8日の3日間にわたって、福岡、佐賀、長崎、広島、岡山、鳥取、京都、兵庫、岐阜、愛媛、高知の11府県で発表され、特別警報の運用が始まってから、1災害で4都道府県以上に出されたのは初めてのケースとなった。

 

今回の平成30年7月豪雨は気象庁が大雨特別警報を出したほか、テレビでも繰り返し雨の激しさが報道された。東日本を中心に広がった豪雨の影響は首都圏にいても体感できたほどで、7月6日は午前中のうちから東海道山陽新幹線は運行本数の間引いたり、あるいは新大阪までの運行にしたりなど、ダイヤも大きく乱れ、新幹線はいつも比較にならないほどの混雑となった。

 

 

政権の緩みと言われても仕方ないツィートが・・・


ところが、である。これだけ警報が鳴らされ、刻一刻と被害が拡大している様が報じられ、当然国土交通省はじめ、中央省庁には詳細が伝えられていたにも関わらず、政権の初動はあまりにも遅かったと言わざるを得ない。首相官邸で関係閣僚会議が開かれたのが豪雨から2日後の7月7日。非常災害対策本部が設置されたのは3日後の7月8日である。

 

政権与党の国会議員も今回はtwitterで炎上したものも少なくない。例えば、片山さつき議員は7月5日、「赤坂自民亭」と呼ばれる、自民党若手議員との懇親会の写真をアップしている。ここには安倍首相の姿も写っているわけだが、同日14時の時点で、既に気象庁が緊急記者会見を開いていたこともあり、そういう中での宴会は「いかがなものか」という声が相次いだ。

 

また、今回の被害が出たエリアの一つである岡山を選挙区とする、ある国会議員は地方都市への出張と、その際に舌鼓を打った寿司の写真を、これもtwitterにアップしている。それも7月7日、豪雨の被害が拡大している最中である。このツィートも激しく非難されたが、気づけば、当該ツィートは削除されている有様だ。

 

 

与野党超えて災害への対応を

 

私たち国民一人ひとりが、国会議員の一挙手一投足をウォッチすることはできない。だからこそ、こうした非常時における政治家一人ひとりの立ち居振る舞いは重要だ。歴史的な豪雨によって、山が削られ、道路が流され、家が流され、人が流され、その被害が拡大している。それも自分の選挙区で、だ。そんな状況にあって、twitterに自分が食べたもの、それも寿司という一般的にいって特別な食べ物をアップしてしまう呑気さは政治家としての「大切な何か」が欠如していると言ってもいいだろう。


残念ながら安倍政権に、初動の遅さを恥じる動きは見られない。かといって、今更、初動の遅れを野党が指摘したところで、今は災害救助を優先する局面だ。野党は率先して国会運営に協力し、災害対策への与野党連携の流れを作るべきだろう。

 

そして、地球温暖化の影響だろうか、改めて年々、豪雨のレベルが上がっている。今回もこれほどの豪雨は想定していなかったという声も聞こえてくる。今一度、国を挙げて災害への備えを再点検するとともに、現状の災害想定計画を見直すべきだろう。そして、災害への備えにつながる公共事業については、予算を拡充するなど、柔軟な姿勢も必要になってくるのではないだろうか。