スウェーデンは高福祉高負担として知られている。 スウェーデンの税金の仕組みや、使い道はどのようになっているのか?
スウェーデンの税金の仕組み
スウェーデンでは税金の国民負担率は56%で、そのうち租税は50.2%である。日本の国民負担率は42.2%なので、日本より13.8%高い。
(参考:国民負担率(対国民所得比)の内訳の国際比較(日米英独仏瑞) : 財務省)
スウェーデンの消費税
スウェーデンの消費税は25%で、日本の消費税より17%高い。しかし、軽減税率制が採用されているため生活に必要な日用品などの消費税は12%、本や新聞など文化的価値のあるものは6%である。
消費税が12%のもの
・食料品(加工食品以外)
・生活必需品
・レストラン
・ホテル
・交通費
消費税が6%のもの
・本
・新聞
・映画、スポーツ観戦、コンサートなどのチケット
・その他文化的価値のある物
スウェーデンの所得税
所得に関わらず、約30%の地方税がかかる。地方税は、住んでいるコミューンによって異なり、約26%~35%の間である。所得が多い人は国税が加算され、国税は所得により変動する。そのため、スウェーデンでは年収688万円までの約90%の人が国税を払っていない。
コミューンとは
日本の市町村にあたる基礎自治体である。主な責務は、教育と社会保護。人口や面積の大小に関わらず、コミューンと呼ぶ。
スウェーデンの税金の使い道
スウェーデンで受けられる社会保障と費用
受けられる保障 | 費用 |
教育費 | 無料 |
医療費(18歳まで) | 無料 |
医療費(19歳以上) | 年間で約10,000円 |
薬代 | 約25,000円 |
スウェーデンでは、税金の国民負担率は高いが医療や福祉が充実している。
スウェーデンの税金の仕組み
主にコミューンが行政を行っている
スウェーデンでは、全てのコミューンが自由に行政組織をつくり運営できる。国は、コミューンの自治に関して強制することはできない。自治体の歳入はほとんどが地方税である。コミューンの主な責務は、教育と社会保護である。そのため歳出の約半分は、老人ホーム、保育所などの施設の運営や介護や保育の訪問サービスである。その他に、水道や社会福祉などのサービスを提供している。
医療関連はランスティングごとに行う
スウェーデンの医療はランスティングごとの地方分権制となっている。医療費の約70%が地方税で、歳出の約90%が保健医療関連の支出である。医療費の自己負担率はランスティングごとに決められている。自己負担の上限額が設定されており、外来診療は年間約10,000円、入院は一日約1,000円、薬剤費は年間25,000円である。19歳未満の子供は無料となる。
ランスティングとは
日本で県に相当するスウェーデンの地方自治体の一つ。主な所管事務は医療であり、例外的な私立医療機関を除いて、医療機関のほとんどがランスティングの施設である。
なぜ高福祉が実現出来ているのか?
ランスティングやコミューンごとに行政を行うため、支払った税金の使い道がわかりやすい。選挙により選出された議員が施策の決定や実行に直接関わるので、民意が反映されやすくなっている。そのため、若い人の選挙の投票率が約80%と日本よりかなり高い。医療費の負担が少ないなど、高齢者だけではなく、税金を支払っている世代が保障を受けている実感を得られる。だからスウェーデンでは、税金が高くても納得している国民が多い。