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代表選挙は次世代のリーダーの登竜門か

 

 

 

国民民主党代表選挙は「若い」候補者による争い

 

 近いうちに、国民民主党の代表選挙や自民党の総裁選挙が実施される。いずれも複数の候補者の立候補が予想されるため、選挙が実施されることになる。


 例えば、国民民主党では、玉木雄一郎共同代表と津村啓介元内閣府政務官の一騎打ちとなった。さらに、自民党では、現総裁の安倍晋三氏と石破茂氏の立候補が予想されている。自民党については別の新たな候補者が登場する可能性も残されているが、このうち、津村氏は一般的にはあまり知られた存在ではないのではないだろうか。

 

 津村氏は当選6回。玉木共同代表も当選4回で、これまでの政党のトップの当選回数と比較すると、決して多いとは言えない当選回数である。参考までに、安倍総理は当選9回、石破氏は当選11回である。玉木氏と津村氏は二人とも年齢が40代で、国民民主党の代表選挙は「若い」候補者によって争われることになると言えよう。


 出来てから間もない政党ということで、そのトップを決める選挙にも若い候補者が名乗りを上げているということかもしれないが、二人よりも議員経験の長い現職の国会議員も国民民主党には在籍している。そういうベテランを差し置いて、若い二人が戦うこと自体、大いに歓迎されるべき事態だろう。

 

 

代表選や総裁選の立候補へのハードル

 

 さて、国民民主党の代表選の話をしたが、もちろん、自民党の安倍総裁や石破茂氏も初めて総裁選挙に立候補した時があった。

 

 安倍総理は、少し特別で、2006年に初めて立候補した総裁選挙で当選し、そのまま総裁・首相を務めている。


 石破氏は、2008年の総裁選挙の時に初挑戦。今回挑戦するとなると、2012年の2回目の挑戦に続き、3回目の立候補となる。

 

 石破氏の挑戦の歴史を見ても推察されるように、総裁選挙への立候補は次代のリーダーを目指す上で、ひとつの登竜門となる。


 総裁選挙に立候補するには推薦人を集める必要があり、まずは仲間内で「次のリーダーは、あの人」と思ってもらう必要がある。さらに、総裁選挙といえども、それは「選挙」であり、国民の目には触れないところで、壮絶な選挙戦が繰り広げられる。それを支える資金や人員を準備できるのかどうか、その力も試されるのだ。そういう力を備えた人物が次世代のリーダー候補として、総裁選挙に打って出ることになるのだ。

 

 自民党の現職議員で、総裁選挙に立候補経験があるのは、上記の安倍総理と石破氏を除くと、以下の人物しかいない。

 

 麻生太郎:2001年・2006年・2007年・2008年
 石原伸晃:2008年・2012年
 河野太郎:2009年
 西村康稔:2009年
 林芳正:2012年
 (年は立候補した総裁選挙の年)

 

 総裁選挙の都度、立候補が取沙汰される人物がいるが、実際に立候補するとなると、そこには高いハードルが待ち構えている。ゆえに、実際に立候補にまでたどり着けた人物は決して多くないのだ。選挙は勝たなければ意味がないとは言っても、総裁選挙について立候補するだけでも大きな意味があると言えよう。

 

 

民主党・民進党代表選挙の立候補経験者

 

 野党の現職議員には、代表選挙の立候補経験者だけではなく、代表経験者も多数存在している。


 菅直人氏・野田佳彦氏の両総理経験者だけではなく、民主党や民進党時代の代表経験者としては岡田克也氏・前原誠司氏・小沢一郎氏・海江田万里氏・蓮舫氏の五人。このうち、蓮舫氏以外は複数回の立候補を経験している。また、その両党の代表選挙の立候補経験者として、以下の現職議員がいる。

 

 松沢成文:1999年
 樽床伸二:2010年
 原口一博:2012年
 赤松広隆:2012年
 細野豪志:2015年
 長妻昭:2015年
 (年は立候補した代表選挙の年)

 

 現在、国民民主党の共同代表の玉木氏も2016年の民進党代表選挙で初めて立候補。このときには、蓮舫氏・前原誠司氏の後塵を拝しているが、これをきっかけに、国民的な認知を得たのは間違いない。


 ちなみに、立憲民主党の枝野代表は2017年の民進党代表選挙が初挑戦。このときには、前原氏に敗れているが、これも枝野氏にとっては大きな転換点になったことも間違いないだろう。

 

 

結果は分からないが初挑戦の津村氏の動向に注目したい

 

 自民党や民主党・民進党の総裁選挙や代表選挙の立候補経験者を見れば分かるように、最初の挑戦での敗北後に、捲土重来を果たして総裁や代表に就く人もいれば、そうではない人もいる。ただ、もしトップの座を射止めることにはならなかったとしても、その後、それぞれ要職を経験する人も少なくない。総裁選挙や代表選挙は、自身の党内での力を確認するとともに、対外的にもその存在をアピールできる貴重な機会なのである。


 伝え聞くところでは、現共同代表の玉木氏の優勢とされている。それでも、推薦人を集めることに成功し、初の代表選立候補を果たした津村氏の今後の動向に注目したいところだ。