霞が関から見た永田町

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加計学園問題で国会が揺れるなか、総務省による地方創生や地方分権の否定!?

 

ふるさと納税の過熱する返礼品競争に対して、2017年4月1日付で総務省都道府県に対して見直しを求める通知を出した。この通知自体は技術的助言というもので、従う義務はないものではあったが、一定の数の自治体は総務省の求めに応じて返礼品の見直しを行っていた。それでも見直しを行わない約100の自治体に対しては、5月24日付けで、今後の方針などを回答するように総務省が改めて通知を出していた。

 

一連の通知では、返礼品の調達価格を寄付額の3割以下にすること、商品券のように換金性の高いものや家電製品や宝飾品のように資産性の高いものは返礼品としないことが自治体に対して要請された。返礼品の競争の過熱ぶりを見ると、総務省の通知も仕方がない面があるとは思うものの、家電製品を返礼品としていた伊那市に対しては総務大臣が記者会見で名指しで見直しをするように迫るなど、地方分権や地方創生が主張される中で、総務省およびに総務大臣の姿勢には行き過ぎた面が見え始めている。

 

再三の通知に対して折れる自治体もあり、このほど、三重県志摩市鳥羽市ふるさと納税の返礼品から真珠製品を外すという措置を講じることになった。志摩市鳥羽市の返礼品として特産品である真珠製品が提供されることは理に適ったもののようにも見えるが、再三の要請に従わざるを得ないというのが自治体の本音のようである。ここで従わないと、別のところで不都合が起こらないとも限らない。そんな実利的な判断が下されているようだ。

 

一方で、通知には改めて従わないことを表明する自治体もある。返礼品として町内の旅館やホテル、飲食店などで使用可能な金券「くさつ温泉感謝券」を返礼品として送っている群馬県草津町については、町長が総務省の通知に従わない旨を表明している。

 

群馬県草津町の黒岩信忠町長は24日、ふるさと納税の返礼品として金券を取り扱わないよう求めた総務省に対し「従わない」と拒否したことを明らかにした。「金券は温泉旅館など約300社に経済効果があり、地方創生に役立っている。法令上もモラル上も問題ない」と反発した。同省と協議は続けるという。

  

 自治体による創意工夫や自治体間の競争を奨励するような政策を一方で展開しながら、「頑張っている」自治体に対しては、個別に通知を出して軌道修正を迫るというのは少々矛盾しているだろう。そもそも、草津町長も述べているように、問題視されている返礼品については、法令上の問題はない。あくまで、総務省総務大臣が「問題だ」と思っているに過ぎない。通知についても、それに従わないからと言って、何らかのペナルティーが科されるものでもない。にもかかわらず、従わざるを得ない自治体があるのは、別の機会に不利益を被るかもしれないとおそれてのことだ。

 

 従う義務のない通知で自治体を従わせるというのは、これまで進められてきた地方分権改革の中で否定された行政のあり方である。もし、ふるさと納税に制度として根本的な誤りがあるのであれば、国会の場で法律を改正するのが筋である。

 

 地方創生を掲げる安倍政権がこれまでの地方分権改革の成果を否定するわけがないのかもしれないが、ふるさと納税に関する一連の総務省およびに高市総務大臣の行き過ぎた自治体への介入を見ると、必ずしもそうではないのではないかと疑念を抱いてしまう。地方創生という看板政策の否定を行うようであれば、もはや安倍政権の存在意義すら問われることになるだろう。

 

いずれにしても、加計学園問題で国会が揺れるなか、国民の見えにくいところで、ふるさと納税の見直しを通じて総務省による地方創生や地方分権の否定が行われているとしたら、それは大変に由々しき事態である。