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財務省による国家に対する反逆行為

 

 

 

財務省は記録をあえて廃棄していた

 

23日、森友学園への国有地売却に関わる書類が財務省から国会に提出された。


 これに関連して、富山一成理財局次長は、佐川宣寿前国税庁長官が国会で行った「文書は廃棄した」との答弁とのつじつまを合わせるために、文書の改竄だけではなく、その時に財務省内で保管されていた記録の廃棄を進めていた事実を明らかにして陳謝した。


 森友学園への国有地売却に関わり国会で野党から追及されると、財務省の中で文書廃棄の指示が出され、実際に文書が廃棄されたというのだ。国有地を売却するという行為につき、その説明責任が求められる場面で、その説明の根拠となるである文書そのものを廃棄して、何もなかったことにしようというのだから、明らかな証拠隠滅が財務省において行われていたことになる。安倍総理がどうとか、与党とか野党とか、そういうことを全て超えてしまって、国会を愚弄する行為が平然と財務省内で行われていたのだ。
これを国家や国民への反逆行為、民主主義の根幹を否定する行為と言わずにしてなんと言えようか。

 

 

文書は財務省Webサイトにて公開

 

佐川元理事財局長の下で行われたとされる決裁文書の改竄。その改竄前の文書が「書き換え前の決裁文書」として公開された。また、「森友学園等との交渉記録」も公開された。

 

www.mof.go.jp

 

これだけの文書の記録がありながら、国会で森友学園の問題が取り上げられると、一貫して情報の公開を拒み、不誠実な答弁を続けてきたのが佐川氏やその前任者である迫田元理財局長らである。


 もちろん、口先では真相の究明を求めながら、実質的には何の進展も促すことが出来なかった財務省のトップである麻生大臣や内閣のトップである安倍首相の責任も当然に問われるところである。


 何かと言えば、野党の追及に対して、「証拠を出してから、質問しろ」と迫っていた安倍総理。その足元では、大事な証拠が改竄されたり、廃棄されていたりしたのだから、これまでの答弁については、「どの口がそんなことを言うのか」としか思えない状況である。

 

 

国会審議の停滞の原因は政府にある

 

森友学園の問題が国会で取り上げられた際に、少なくとも今回公開された文書を元にして議論がなされるべきであった。しかし、財務省から出て来たのは、文書は残っていないとの回答。実際にはあったとして文書が出してきたと思えば、それは改竄されたもの。これでは、国会でまともな審議は行われない。


 国会の審議では問題の核心に迫ることが出来ず、その原因はあたかも質問や追及が甘い野党にあるかのような言説がまかり通っているが、それは明らかな間違いだ。その原因は、文書をきちんと公開しなかった財務省及びに行政府の長である安倍首相にある。

 

 文書が公開されている財務省Webサイトには、麻生財務大臣の言葉が掲載されている。その中には、「決裁を終えた行政文書について書き換えを行うというようなことは、極めて由々しきことであって、誠に遺憾です。私としても深くお詫び申し上げる次第です。」とお詫びの言葉も記されているが、これは事の重大さをまるで認識していないことの表れである。財務省は国会そして国会を構成する国会議員を選んだ国民を蔑にする行為を行った。財務省が詫びるべき対象は国民であって、その対象を明示しないお詫びはお詫びではないと言える。


 25日の閣議後にも麻生大臣は同様の謝罪の言葉を口にしているが、まったくもって、事の重大性が分かっていない。1年以上、国会と国民を騙してきた財務省。その財務省のトップとして、よもや改竄や廃棄を麻生大臣が指示していたとは思いたくもないが、そういう不正が行われていたことを察知したり、その可能性を疑い、調査しようともしなかったのであれば、それはそれで麻生大臣の責任は重い。

 

www.jiji.com

 

 

財務省は何を守ろうとしたのか

 

財務省の職員とて、文書の改竄や恣意的な廃棄は国会を蔑にする行為であり、やってはならないことであるくらい、誰でも知っていたはずだ。それでやってしまったということには当然に理由があるだろう。

 

一番わかりやすい理由としては、安倍総理が自分自身や家族、事務所の関係者の含めて、森友学園への国有地売却には関わっていないと国会で答弁したことと平仄が合わない文書の存在を公表することが出来なかったというものだ。

 

実際、新たに公開された文書には、総理夫人の昭恵氏付きの職員であった谷氏からの照会に関する記録が含まれている。この問い合わせ自体も先ごろの森友学園の問題が取り上げられた際に野党から指摘されたことであったが、当初は、その問い合わせ自体、その存在を隠そうとしたのが財務省である。財務省としても引くに引けなくなってしまったということなのだろうか。

 

もう一つの理由は時の政権や大臣の影響を受けたくないという財務省内の思いがあったのではないだろうか。森友学園との交渉の内容について、組織のトップである財務大臣や行政全体を司る現政権、さらには国会からうるさく口を出されたくないという思いもあったのかもしれない。


 いわゆる行政組織としての独立性を強く意識するあまり、財務大臣や総理大臣から正直に文書を公開して詳細を話すように指示を受けたとしても、それを受け入れずに、文書を改竄したり、廃棄してしまったりしたのかもしれない。

 

いずれにしても、廃棄されたはずの文書の存在が明らかとなり、それが公開されたことで、財務省の組織としての誤りは明確となった。

 

公開された文書の中には、違法な行為は何も書かれていないので、結局のところ、何の問題もないとする意見も当然ネット上などでは目にするが、それも勘違いが甚だしい。無いとされた文書が実際にはあった。ただそれだけの事実で、財務省の過ちは明らかである。

 

本来であれば、これは財務省による国会への反逆行為であり、国会をあげて、問題の真相解明にあたるべきところだが、安倍総理の腰は極めて重い。その腰の重さゆえに、総理には何か後ろめたいことでもあるのかと邪推したくもなるところだ。


 特に、総理夫人付きの職員による問い合わせ以降、森友学園への国有地売却の話が急に進展したとも言われている。なぜ、文書の改竄や廃棄が進められたのか、その核心に迫れば迫るほど、安倍総理の立場も危うくなってしまうということなのだろうか。

 

 

まだ真相究明は終わっていない

 

他のニュースに紛れて、さらには国民の中でも森友学園問題への関心が薄れつつある中で、この財務省による決済文書の公開はあまり注目されていない節もある。しかし、これはわが国の根幹を揺るがす一大事である。


 この問題を追及するのは、やはり野党が中心になるしかない。「まだ森友問題を取り上げるのか」という批判も当然に受けることになるだろうが、決して怯むことなく、この一大事に正面から取り組んで欲しいところだ。