囲碁や将棋で行われる感想戦
囲碁や将棋では、対局後に対局者同士で感想を述べ合う「感想戦」が行われる。
その手の内をすべて明らかにするわけでは当然ないが、ある場面で打った手の意図や他に検討した手など、対局者同士で意見を交わす。対局終了後に、最善の手を対局者同士で模索するのだ。
感想戦に思いが及んだのは、国民民主党の玉木代表の「たまきチャンネル」に一連の投稿を見たからだ。
予算委員会での玉木代表の質問の意図
玉木代表のYoutubeチャンネル「たまきチャンネル」には、先日10月10日に開催された予算委員会での質問について、玉木代表自身が解説した映像がアップされている。
10日の委員会で質問に立つ前に、同チャンネルで、玉木代表に質問して欲しい事柄を募集していたということもあり、そのお礼が冒頭述べられている。そして、それぞれ、質問のテーマ別に映像がアップされている。
第一は憲法改正、第二は日米貿易協定、第三は消費税についてである。
それぞれの映像では、冒頭で玉木代表の解説があって、次に予算委員会での玉木代表と安倍総理との実際のやりとりが流され、さらに最後に玉木代表のコメントが追加されている。
どういう意図をもって玉木代表が質問を行ったのか、あらためて分かりやすく解説するよう玉木代表は努めているように思える映像である。特に、予算委員会でも実際に使用したフリップを用いての解説は分かりやすい。
囲碁や将棋の感想戦と違って、質問を受けた側の安倍総理による感想はないが、少なくとも玉木代表の意図はこの映像でかなりの程度明確にされていると言えるだろう。
玉木チャンネルへの更なる期待
「玉木チャンネル」を用いた一人感想戦。この試みは大変評価されるべきであると思うが、まだまだ改善の余地はあるように思う。以下に、その改善点について述べてみたい。
まず、各映像の構成について。
いずれの映像も、冒頭に玉木代表の解説、次に実際の予算委員会の映像、最後に玉木代表のコメントという構成になっている。
そのボリュームは真ん中の実際の予算委員会の映像が大きい。一応、実際の映像を切り取ってきただけではなく、キャプションをつける工夫が行われているが、基本的にはただ質疑の様子が流れていくだけである。
途中途中で、この質問を行ったら、安倍総理からこんな答弁があったので、なので、予定通り・予定とは異なり、こんな質問を返した、といった解説が欲しいところだ。
予算委員会の映像を途中で止めて玉木代表の解説の映像に切り替えると、途切れ途切れになってしまい、かえって分かり難くなると考えたのかもしれないが、10分を超えるような質疑のやりとりをただ流されても、それなら、衆議院や参議院で提供されている過去の国会審議の映像を見るのと変わらない。
囲碁や将棋の感想戦に習って、一手一手の検証を行いたいところだ。一問一問、玉木代表による質問の意図を、もう少し丁寧に解説してくれると良い。
もう一つ、玉木代表による冒頭の解説と最後のコメントについて。
それらの場面は、白地の背景で、玉木代表がただ話しているだけで、一部で当日使用したフリップを持ち出すというかたちになっている。
やはり、何か「図表」や「文章」があると、視聴者としては理解がしやすくなる。途中、フリップを用いる場面では、玉木代表が片手でフリップを押さえながら、もう一方の手でフリップを指さして解説がなされているが、フリップが曲がってしまったりと、何だか見づらくなっている。
このあたり、映像制作に、もう少し手を入れるなり、撮影場所を工夫するなりして、的確に図表や文章を画面に映しながら、分かりやすい解説やコメントを行うということをして欲しい。
誰もが玉木代表の話す内容に通じている訳ではないので、例えば基本的事項については解説中で言及しないとしても、画面上には注意書きとして表示させておくといった工夫も必要だろう。
今後は、玉木代表の前後に質問に立った同僚議員も交えて、当日の連携についてや委員会の実際の様子などについても解説するといった試みがあり得るだろう。
まだ始まったばかりの玉木代表による一人感想戦。何よりも、このような地道な取り組みを継続して欲しいものである。