まだまだ続く「桜を見る会」に関する一連の疑惑。
「桜を見る会」の招待者の名簿がシュレッダーにかけられてしまった件について、野党議員が内閣府にあるとされるシュレッダーを確認しようと内閣府に訪れて拒否されるという一幕があった。
シュレッダーが設置されているのであれば、それ自体を野党議員に見せたところで何も不都合はないように思うが、結局、内閣府の職員は議員らに実物を見せることはしなかった。まさかシュレッダー自体が架空のものというわけではなかろうが、何でも隠そうとする内閣府の姿勢は褒められたものではない。
そもそも、問題になっているシュレッダーでの招待者名簿の処分は、共産党議員が「桜を見る会」を巡る資料要求をした5月9日とまさに同じ日に行われたものである。
名簿をシュレッダーにかけた内閣府の説明では、シュレッダーの利用は予約制であり、当初使用しようと思っていた日では予約がとれず、たまたま5月9日が「シュレッダーが空いた日だった」とのことだが、もはやこの説明をそのまま言葉通り受け取る国民など皆無だろう。
資料要求があったその日に廃棄したというのであれば、資料を見せたくないから廃棄した。そう見るのが自然だ。もし積極的に国会議員に対して資料提供をして説明をしたいようなものであれば、もし廃棄が決まっていても、数日程度であれば日程変更をして対応することすら考えられたはず。慌てて廃棄処分のかたちをとらざるを得なかった。それくらい都合の悪い情報がそこにはあったと思われても仕方がない。
シュレッダー利用の予約について公開制度の構築を
今回のシュレッダー見学を断られた件については、もちろん、野党議員側にも向けられる批判もあって、シュレッダーを見たところで、疑惑の追及に直接の意味はないかもしれないということがある。動いているシュレッダーを見ずとも、性能はカタログを確認すればある程度推測可能だ。利用状況は日によって変わるので、一日の数時間程度を見たところで多くのことは分からずじまいだろう。あまり意味がないのに、押し問答する光景をマスコミに撮らせるために、あえて内閣府に突然訪問したということであると、かえって野党への批判も強まることになる。
こういう時こそ、野党議員は疑惑の追及だけではなく、再発防止のための取り組みなりを提案することを合わせてやって欲しいところだ。
では、どのような提案があり得るのか。
考えられるのは、今回の疑惑で広く知られることになったかもしれない、「シュレッダーの利用は予約制」という点に着目した提案である。
各府省や部局で予約方法には差があるのかもしれないが、少なくとも予約制でシュレッダーを利用しているというのであれば、まずは予約の情報は直ちに記録を残し、その保存期間は長期間に設定する。さらに、出来ることであれば、予約がある部署や担当者からなされた際には、その情報を直ちに各府省のWebサイトで公開するくらいのことは制度化して、今後の府省のシュレッダー利用については国民の目による監視下に置くようにすれば良い。
そうしたところで、こっそりシュレッダーを使用されたらどうにもならないという意見もあるだろうが、そのような場合には、シュレッダーを無許可に使用して資料を故意に棄損したということで罰する仕組みにしたら良い。
野党の追及の中で、シュレッダーの予約表や利用履歴の公開も求めている。
それらについては、何らかの制度化はされていないはずなので、内閣府側はのらりくらりとかわして、そのような情報は提供しないものと思われる。この際、そういう逃げが打てないように、シュレッダーに関する制度を作る方向で動けば良いのだ。
少なくとも、常にシュレッダーの利用状況が確認出来れば、都合の悪い資料があるので大量に廃棄しようという動きがあっても、それを察知することもできる。
シュレッダーにかける資料名も公開するように出来れば、どの資料がいつシュレッダーにかけられたかも外部から確認できるようになる。
現状は、国会から資料提出を求められても、シュレッダーにかけて廃棄したので出せないと答えてくるようなことが常態化している。このまま役人の自主的な事務作業に任せていては、恣意的な廃棄などは止まらない。国民の財産である政府作成の各種資料がシュレッダーで無定見に裁断されてしまってはかなわない。この際、省庁のシュレッダー利用の予約の公開も制度化して、大事な資料をシュレッダーで簡単に処分されてしまわないような仕組みづくりを進めてはどうだろうか。