霞が関から見た永田町

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リープフロッグ現象時代のイノベーションに備えよ

 

 

 

Leapfrog(リープフロッグ)、日本語に訳すると「カエル跳び」。リープフロッグ現象とは経済活動で見られる、世代をいくつか飛び越えて一気に最新のテクノロジーが社会に普及することを指す。

 

分かりやすいところでいえば、中国の深セン。都市そのものがテクノロジーの展示場になっている。キャッシュレス決済はもちろんのこと、自動運転、ドローン、顔認証技術を使った無人コンビニなど、これでもか、というほどにテクノロジーの都市への実装が進んでいる。

 

 

ドローンで変わるアフリカ

 

深センだけではない。アフリカのルワンダではドローンを使った血液や薬品の空輸が始まっている。サービスを手がけるのはアメリカのベンチャー企業だ。発展途上国ゆえ、道路が未整備だったり、あるいは整備されていても雨になればしばらくは通行できなくなる、貧弱な社会インフラの国において、手術で使う血液や薬品の輸送は非常に致命的な課題を抱えていた。トラックで輸送してコンディションがよくても2時間、コンディションが悪いと数日も輸送に時間を要していたのが、ドローンによる配送システムを確立したことで、長くても30分もあれば、輸送できる体制が整いつつある。つまり、ドローンというテクノロジーによって道路の整備を省いてしまう、まさにリープフロッグ現象の最たる例である。

 

今、世界でこうしたリープフロッグ現象が次々と起きている中で、見過ごされがちな視点がある。それはリープフロッグ現象の裏返しとして、先に発展してしまった国、都市はなかなか次の世代へ切り替われない、というものだ。分かりやすいところでいえば、例えば、韓国は21世紀初頭、世界に先駆けてADSLが普及し、一躍ネット先進国となったが、それが仇となり、光ファイバーへの切り替えが遅れてしまった。今や韓国のネット環境は世界最先端とは言えない。

 

 

時計の針が止まったままの日本

 

さて、翻って日本。今、日本が世界の中で最先端といえるテクノロジーや産業領域があるだろうか。残念ながら、答えは「ノー」だ。少しずつ変化してきたとはいえ、産業はもちろんのこと、働き方、女性活躍など、1990年代の過去の遺物を引きずっているかのようだ。

 

なぜ、日本が変われないのか、不思議ではあるが、一方でリープフロッグの下地は整いつつあると言っていいだろう。かつても東大総長だった小宮山宏氏が上梓した「課題先進国・日本」。2007年に出版されてから早いもので、もう10年以上が経過した。あれから日本の社会は残念ながら、時が止まったかのようだ。

 

リープフロッグの素地は整いつつあるとはいえ、何かのキッカケ、トリガーが必要だ。そのトリガーになれる一つは政治だろう。

 

 

政策でリープフロッグを実現せよ

 

例えば、国民民主党はどうだろう。同党は「つくろう、新しい答え。」というキャッチフレーズを掲げている。間もなく始まろうとしている統一地方選挙、夏に控える参議院選挙に向けて「この国に黙っておられん者たちよ」と公募で呼びかけている。心意気やよし、だ。ぜひ、本気で取り組んでほしい。

 

この国は本当に待ったなし、だ。リープフロッグで数段飛びで、社会をアップデートしていかないともう維持できないところに来ている。立憲民主党など、他の野党と同じように反対のパフォーマンスで目立とうという姿勢の野党勢力でいてはいけない。どうやったら、この国をアップデートできるのか、それは産業政策しかり、労働政策しかり、教育政策しかり、あらゆる分野に及ぶ。こうなってしまったことの過去の責任を問うのはひとまず、置いておこう。未来志向で、今何をやるべきなのか、選挙という装置を使って堂々と披瀝してほしい。