霞が関から見た永田町

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2014年11月以来「下方への局面変化」の内閣府の景気動向指数、景気はすでに後退局面か?

 

 

 

3月7日、内閣府が発表した1月の景気動向指数が市場に動揺を与えている。景気の現状を示す一致指数は97.9と2013年6月以来の低水準となり、内閣府は基調判断について、景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げた。

 

指数の基調判断は5段階あり、下方への局面変化は真ん中の3番目となる。下方への局面変化という表現は、2014年11月以来で、この時は消費税8%への引き上げの影響で消費が低迷したときだった。これまで内閣府は基調判断については「足踏みを示している」との表現を使っており、今回一段、引き下げた形だ。

 

 

3月下旬の内閣府の月例経済報告に注目

 

もちろん、今回の内閣府の発表をもって、日本経済の先行きに悲観的になる必要はまだ、ない。一つには指数は機械的に決まるからだ。どういうことかというと、指数には9種類の経済指標が使われる。このうち、今回、産業用ロボットや半導体、自動車などの生産減が強く影響し投資材出荷指数が指数を押し下げた格好だ。ほかにもデパートなど小売りも販売減による悪化などが見られた。こうした指数の変化に応じて基調判断は機械的に決まっているのである。

 

ポイントは、3月下旬に控える月例経済報告だ。これまでは「緩やかに回復している」とされていたため、これが踏襲されるのか、それとも表現が変わるのか、注目だ。仮にその報告がマイナスのトレンドとなった場合には、今回の内閣府の発表と合わせて、いよいよ日本経済の基調が変化したという見るべきで、今後は新たな経済政策が求められよう。

 

とはいえ油断はできない。米中の貿易摩擦も先行きは見通せず、その影響は日本の製造業にも大きな影響を与えているなど、日本を取り巻く国内外の経済状況は予断を許さない状況になっているからだ。

 

 

「アベノミクス」に代わる野党ならではの経済政策を示せるか?

 

今回の景気動向指数だけで判断はできないものの、これを受けて国会では活発な経済論争を期待したい。

 

まず、野党にちゃんと注文をつけておきたいのは、鬼の首を取ったように「アベノミクスの失敗」と政権をあげつらうことは止めた方がいい。永田町にいれば、安倍首相の答弁の不誠実さや国会運営に見え隠れする謙虚さのなさ、など気になるところはあるだろう。そうだとしても、国民はそれでもまだ、「自民党の方がマシ」と思っている現状がある。

 

相手のダメなところを見つけて、批判するだけなら誰でもできる。そして、昔はそれの姿勢こそがテレビを通じて国民の目には「頼もしい」存在に映った時代もあった。だから批判だけでも、自民党をやり込めていると、なんとなく改革派に見え、それが支持率へ繋がった時代もあったが、今はそうではない。

 

 

10月に控える消費税増税10%引き上げをすべきか否か?

 

国民が望んでいるのは、課題に対する対応策だ。今回の件で言えば、仮に景気が後退局面にあるのだとして、「野党が政権を担う立場だったら、具体的にどんな対応策を取るのか」を提示し、自民党の経済政策との違いをはっきりさせることだ。日本全体の人口は減り続ける中で、都市への人口集中は今後加速していく。

 

そういう中で都市部の経済対策と、地方の経済対策は自ずと変わってくるだろうし、直近で言えば、10月に控えている消費税の10%引き上げをどう判断するのか、は大きな論点になるだろう。

 

この辺の対応について、どういう状況なら据え置きの判断があり得るのか、どういう状況なら10%増税を続行なのか、野党には語ってほしい。増税を議論したのは民主党政権の時だったのだから。理由もなく「増税反対」とはいかないだろう。