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加計学園による獣医学部新設をめぐる行政プロセスは不透明なまま

 

 

 

25日の参議院予算委員会にて


 25日に行われた参院予算委員会。ここでは、19日に行われた加計孝太郎加計学園理事長の会見をめぐり、安倍総理に対して野党から質問がなされたが、「政府としてその内容や評価についてコメントする立場にはない」と答え、安倍総理はいつものように核心に触れるような答弁はしなかった。これ自体は、これまでも森友学園や加計学園の問題について追及された際に安倍総理が取ってきた姿勢と変わらず、何ら驚くようなこともない。決まり文句にはなるが、「さらに疑惑は深まった」ということだ。


 ただ、25日の安倍総理の答弁で注目したい一節があった。それは、加計学園による獣医学部新設に関して、「行政のプロセス自体に全く問題がなかったことは明確だ」という答弁だ。

 

 

国家戦略特区に関わる不透明な行政プロセス


 加計学園による獣医学部新設は、国家戦略特区に指定された広島県・今治市地域の事業のひとつである。この国家戦略特区における事業として指定される行政プロセスにおいて問題がなかったというのが、安倍総理が強調するところである。


 この件、例えば国家戦略特区に関わる諮問会議の民間有識者議員である八田達夫氏が国会に参考人として呼ばれた際に、同様の答弁をしていた。いわく、プロセス自体には全く問題がなかった、と。

 

 

国家戦略特区に関わる不透明な行政プロセス


 加計学園による獣医学部新設は、国家戦略特区に指定された広島県・今治市地域の事業のひとつである。この国家戦略特区における事業として指定される行政プロセスにおいて問題がなかったというのが、安倍総理が強調するところである。


 この件、例えば国家戦略特区に関わる諮問会議の民間有識者議員である八田達夫氏が国会に参考人として呼ばれた際に、同様の答弁をしていた。いわく、プロセス自体には全く問題がなかった、と。

 

www.kantei.go.jp

 

 ここから、区域計画のページに移ることが出来る。

 

www.kantei.go.jp

 

 広島県・今治市は、地域計画が三回認定されている。このうち、第一回と第二回の認定計画では、獣医学部の新設は掲げられていない。その件が計画に盛り込まれるのは第三回である。

 

 このこと自体は特に問題があるわけではなく、加計学園が新設される獣医学部の事業主体として選ばれたために、地域計画にも追記されたというだけなのだが、では加計学園がどのように選ばれたのかを確認しようとすると、上記のサイトから必要な情報をたどることが出来なくなる。


 さらに言えば、獣医学部の新設がなぜ広島県と今治市の地域において事業のひとつとして採用されたのかも、その根拠を示す明確な資料はなかなか見つけることが出来ない。


 加えて言えば、愛媛県の職員が今治市の職員や加計学園の事務局の職員と共に首相官邸で首相秘書官や国家戦略特区を担当する藤原審議官と面会していたことが明らかになり、その際に職員が残したメモが公開されて話題になったが、愛媛県ではなく、広島県と今治市が組んで国家戦略特区に指定された事由も公開資料だけでは判然としない。


 愛媛県も獣医学部新設に向けて補助金を出すなどの支援も行っているはずだが、制度の枠組み上はどこか蚊帳の外に置かれたかたちになっているのは何故なのか。

 

 内閣府の国家戦略特区のWebサイトや関連するサイト、そして国会での審議で明らかになった断片的な事実や愛媛県や今治市から公開された資料を繋ぎ合わせれば、その全容は明らかになるのかもしれない。おそらく、安倍総理のもとには、そういう断片を集めてひとつのストーリーにした資料が準備されているのであろう。だからこそ、「行政のプロセス自体に全く問題がなかった」と答弁できるのだと思うが、行政組織の外側にいる一国民から見たときには、そのプロセスは不透明なままだと言わざるを得ない。


 そもそも、加計理事長が安倍総理と会ったという嘘が愛媛県や今治市には伝わり、それが前提となって、愛媛県や今治市は国の担当者に面会している。このことだけでも、十分に行政プロセスに不透明さが生じたと言えるはずだが、この件については安倍総理は論評しないと答えて逃げている。これでは、「行政のプロセス自体に全く問題がなかった」という答弁はにわかには信じがたくなる。

 

 

加計学園による獣医学部新設に関する情報の一括公開を

 

 安倍総理が「行政のプロセス自体に全く問題がなかったことは明確だ」と言い切るぐらいだから、その明確な根拠は十分に揃っているはずだ。もちろん、根拠がないのであれば、それは詭弁を弄したと言うことになる。安倍総理は嘘つきとレッテルを貼られることを心底嫌っているようなので、ここは嘘つきと言われないように、自ら積極的に情報公開を進めて欲しいところだ。

 

まずは、首相官邸でも内閣府でも、どこでも良いので、そのWebサイトに加計学園による獣医学部新設について特設ページを開設すべきだろう。そこでは、関連する資料を中央省庁だけではなく愛媛県や今治市などの自治体の協力も得て収集して、一括して公開したらどうだろうか。


 安倍総理が一点の曇りもないとこれまでも強調しているのだから、各府省には総理大臣として情報を提供するように指示すれば事足りるし、一連の中村愛媛県知事の姿勢を見れば、愛媛県からも情報提供はなされるはずだ。

 

 安倍総理の言葉を盲信的に信じる人であれば、現状の国会答弁でも納得出来るのかもしれないが、報道各社の世論調査によれば、多くの国民は加計学園の問題について釈然としないままである。一方で、野党による同問題への追及にもうんざりしている国民も多いことだろう。これは結局のところ、政治全体への不信につながる。


政治不信の連鎖を断ち切るためにも、「行政のプロセス自体に全く問題がなかった」と言い切る安倍総理が率先して根拠となる情報の公開を進めて欲しいところである。それが安倍総理の言うところの「膿を出す」ことにつながるのである。

 

野党が要求しても、なかなか文書を公開しようとしない現政権ではあるが、少なくともこれまでに公開した文書や国会の答弁については、隠し立てする必要はないはずである。まずはそれらの情報の一括公開、これを第一歩に、そろそろ加計学園問題の真相解明として欲しい。