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GAFAと国家は何が違うのか?巨大IT企業の規制に乗り出す国家

 

 

 

Google、Amazon、Facebook、Apple。その頭文字を取って「GAFA」という。今やgmailにgoogleカレンダー、googleマップとGoogleのサービスと私たちは無縁ではいられない。生活用品がほしくなったとき、amazonを利用する人も多いだろう。これからの米国発巨大IT企業が提供する各種サービスは、私たちの生活にはなくてはならない存在と言っていい。

 

GAFAと呼ばれる巨大企業は無料でサービスを提供し、そこで得られる各種データ、情報を元に広告事業で莫大な利益を得てきた。その広告料があるからこその、無料サービスだ。Googleが単なる検索エンジンサービスの会社から、今のポジションを築き上げたのは、エリック・シュミットという経営者を迎え、デジタル広告事業での収益化を形にできたからに他ならない。

 

 

GAFAは敵か?


GAFAのような企業をプラッットフォーマーと呼ぶが、ここへきて、プラットフォーマーへの風当たりは厳しくなりつつある。その代表はヨーロッパだ。今年5月、EUは「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)」を施行した。GDPRとは、1995年に採択された「EUデータ保護指令」に代わる形で2016年に採択された個人データ保護を目的にした法律である。

 

GDPRは、個人の名前や住所、IPアドレスやクッキーといった、インターネットにおける情報も含めて網羅的に「個人データ」とし、その扱いに厳格な順守を求めたのである。EUがGoogleやFacebook、Amazonなどの大量の個人データを扱う企業をターゲットにしているのは間違いがない。その証拠に、GAFA各社は個人情報保護の方針をここにきて急速に打ち出している。

 

 

EUに倣う日本


EUの取り組みは日本にも影響を与える。経済産業省や公正取引委員会などによる検討会は11月にはいって、中間論点整理案を公表し、年内に最終案をとりまとめるという。年明けから具体的な規制方法の検討に入るもようだ。プラットフォーマーと呼ばれる企業をはじめとして、取引条件などの開示を義務づけや、データ独占により市場をゆがめていないか、専門家を集めた監視組織の設置も今後、検討する予定という。

 

確かにGAFAの時価総額は今や天文学的な数字だ。デジタル経済は資本の回転率が高いこともあり、あっという間にお金がお金を産んでいくからだ。Googleがこの10年で買収した企業の数、買収額はもはや、10年前、20年前から見ると信じられないほどに大規模である。このままでは、プラットフォーマーにデジタルインフラのすべてを握られてしまう、と各国政府が危惧するのも無理のないことである。

 

一方で、これだけサービスが社会に定着した今、GAFAを法律で規制することにどこまで意味があるのか、という疑問もある。現在、ITサービスではサブスクリプション型といって、Webサービスを月額課金で利用する方式が力を持ち始めており、ユーザーもこれを受け入れている。つまり、GDPRをはじめ、規制を加えたところで、GAFAhe個人情報が流れ込み、彼らがプラットフォーマーとして力を持ち続けるという現状は変わらないように思える。

 

 

テクノロジーに造詣の深い政党が望まれる


であるならば、それらは所与の条件として、どうやって日本のICT業界の力を伸ばすか、GAFAと連携したデジタル経済圏をつくるか、というのも一つの方策と言えよう。残念ながら、日本の政党はまだまだテクノロジーへの理解と関心が薄い。これからの10年、20年はテクノロジーが国家を規定し、テクノロジーが都市を動かしていく時代に突入するだけに、これらの分野に対して政党も積極的に政策を発信してほしいところだ。