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民主主義を重視する国民民主党の矜持 自党の宣伝だけを行うわけではない

 

 

 

参議院議員選挙が始まる


 7月4日、参議院議員選挙が始まった。
 既に3日の段階で、各局のテレビニュースで各党のトップによる討論が企画され、彼らの顔を目にすることになった。そして選挙戦初日から、駅前では候補者が演説をする姿を見かけることも出来た。SNSでは、各党や候補者の活動が様々なかたちで伝わってきた。これから7月21日の投開票日まで、事あるたびに選挙に関連した情報に接する毎日になりそうだ。


 それぞれ、1票でも多く、そして1議席でも多く獲得しようと死力を尽くされることだろう。それ自体、特に責められるようなことではなく、むしろ当然のことなのだが、これだけ集中して各党や候補者の情報を浴びさせられると、辟易しないと言ったら嘘になるだろう。


 選挙のたびに言われることであるが、朝から晩まで選挙カーが大きな音を鳴らして走り続け、駅頭などでは入れ替わり演説などをやられると、かえって政治への関心を失ってしまうのではないかとさえ思ってしまう。

 

 各自の主義主張はもちろん大事だが、選挙に関心を持ったり、投票に足を運んだり、そういうことを国民が積極的にしたくなるような工夫を少しはして欲しいものだし、さらには、民主主義の根幹をなす選挙をより実のあるものとする行為を政党や候補者は心掛けてもらいたいところだ。

 

 

参議院議員選挙の比例代表の投票方法


 そんな観点から、各政党のWebサイトにアクセスしてみたらところ、面白いことを発見した。
 当然、選挙期間中なので、各党はこぞって特設サイトを開設して、宣伝に努めている。それはそうだろう。しかし、ある党は興味深いページを用意していた。
 それが国民民主党だ。

 

 何をしているのかというと、投票方法を紹介したページを開設していたのである。

 

www.dpfp.or.jp

 

 知っている人には当然のことかもしれないが、参議院議員選挙の投票方法は、他の選挙とは少し異なる。


 まず、各当道府県の選挙区については、候補者の名前を書く。これは他の多くの選挙と同様なので、迷うことはないだろう。問題は比例代表だ。
 参議院議員選挙の比例代表では、候補者の名前か政党名を書いて投票する。衆議院議員選挙の比例区は政党名を書いて投票するのだが、参議院議員選挙の場合は候補者名でも良いのだ。

 

 今回の参議院議員選挙から比例代表には特定枠というものが導入され、上位2名は名簿順を事前に決めることが出来るが、それ以外は候補者名での得票数に応じて名簿順が決まる。


衆議院議員選挙の比例代表では政党名を書くことになっていることから、参議院議員選挙の比例代表でも政党名を書く人が少なくない。そうなると、どういうことが起きるかというと、特定の組織の支援を受けて、候補者名を書いて投票してもらった候補者や著名人の候補者が票を集めやすく、結果として名簿順が上位にきやすくなる。

 

 この方式には賛否があるが、まずはそういう制度であることをきちんと知ってもらった上で投票を行ってもらうということが大切だ。

 

 

民主主義を重んじる国民民主党の矜持


 国民民主党のWebサイトには、上述の参議院議員選挙の比例代表の投票方法を解説したページが用意されている。
 投票の仕組みを多くの有権者に知ってもらったからと言って、特に国民民主党が有利になるようなこともないだろう。それでも手間をかけて、ページを準備している。
 そこには民主主義の根幹を守り有意義なものにしようとする国民民主党の矜持が見えてくる。

 

 比例代表の投票方法の他にも、期日前の投票方法や在外投票についても国民民主党のWebページでは説明がなされている。
 期日前投票は「ある政党」の支持者によるものが多いと言われている。その「ある政党」は国民民主党ではないことから、期日前投票の周知を行っても、それが直ちに国民民主党を資することにはつながらないだろう。
 それでも、こちらも手間をかけて周知しようとしているのである。


 
 一人でも多くの有権者が制度を理解し、可能な限り投票を行う。
 そういう民主主義の根幹を重んじる国民民主党の矜持がそこには表れている。

 自党や自党候補者の宣伝は大変に重要だ。しかし、それに劣らず、民主主義を守り育てることも重要である。そういう姿勢を見せる政党はどこなのか。慎重に見極めて投票を行いたい。日頃、「民主主義」を前面に掲げていても、選挙の時には一人自らの宣伝だけをするようなところは信用ならない。