衆院選の候補者選定も活発化
立憲民主党と国民民主党が統一会派を組むことで合意した。これで両党が国会活動において協力していくことになる。
こうなると、直ぐにとは言わないが、問題になるのが来る衆議院議員選挙における候補者の調整の如何である。
両党で小選挙区を勝ち抜いている議員については、ほぼそのままその選挙区で戦うということになるだろうが、両党が候補者を擁立出来ていない選挙区や立憲民主党に所属する比例単独での当選議員の処遇が問題になる。
統一会派を組むことを決定したその日に、立憲民主党は3人の衆議院小選挙区総支部長を選任している。
そのうち一名は先の衆議院議員選挙で比例単独で当選した高木錬太郎議員。もう一人は先日の参議院議員選挙で比例選挙区から出馬して落選した今泉真緒氏。最後の一人は新人候補だ。いずれも、衆議院小選挙区総支部長ということなので、次期の総選挙では立憲民主党の公認候補となることが予定されている。
一方、国民民主党も統一会派結成を決めた次の日に、山口1区について大内一也氏の公認内定を決めた。大内氏は先の2017年の衆院選でも同区で、さらに先の参議院議員選挙では山口選挙区から立候補しており、このまま選挙に臨むことになれば3度目の挑戦となる。
まずは空白区を埋めることから
立憲民主党と国民民主党、両党の現職の衆議院議員、さらに両党に近い立場の野党の無所属議員などを全て合わせても120名前後である。
衆議院の小選挙区は289あるため、全ての現職議員が小選挙区から立候補するとしても半分以上は両党から候補者のいない空白区となる。
実際には、両党とも候補者選定を進めている。
例えば、国民民主党の公認内定者は以下で確認出来る。
落選中の議員を中心にといったところで、まだまだ十分とは言えないが、着々と候補者選定を進めていることが分かる。
立憲民主党については少し分かりにくいが、候補予定者と目される「総支部長(衆)」として紹介されている。
両党である程度の棲み分けは出来ているので、当面は立候補希望者を募り、空白区を埋めていく作業が求められるだろう。ただし、これまでは、それぞれ別の党として候補者選定を進めてきたが、両党が統一会派を組んだということで、選挙でのこれまで以上の協力も視野に入れ、候補者擁立についても戦略的な協力を推し進めていくことを考える必要がある。
いずれにしても、衆議院の任期もそろそろ折り返し地点だ。任期満了まで安倍総理が解散しなかったとしても、あと2年少ししかない。つまり、事前に地盤培養を行える期間が最大限でそれだけしかないということだ。
国会議員の元職や地方議員、その他に当該地域での選挙経験があれば、その選挙区でも一定程度は名前や顔が知られているかもしれないが、まったくの新人であれば、まずは顔と名前を覚えてもらうところから始めなければならない。そして、野党系の新人候補が立つ小選挙区では、その相手候補は自民党や公明党の現職議員ということになる。現職議員の知名度は大きく、新人候補としては一日でも早く、その地域での活動を始めておきたいところだ。
特に両党の現職国会議員が少ない西日本は空白区も多く、準備が全般的に立ち遅れている。統一会派結成を機に、両党間で候補者に関する情報も共有しつつ、いつ解散となっても候補者が十分に揃っているという状況を早期に作り上げていきたい。
勢いだけでは小選挙区は勝ち切れない
先の参議院議員選挙では、れいわやN国党が一気に議席獲得にまで至った。先の衆議院議員選挙では、立憲民主党が旋風を起こして、予想以上の議席を獲得した。
そんな結果を見ると、選挙前に一瞬でも大きな風を起こせば、議席を数多く獲得出来そうな錯覚に陥るが、それは間違いだ。小選挙区を勝ち切るのはそう簡単ではない。
風を起こしたとしても、それによって勝ち切るには、事前の綿密な準備と着実な地盤培養が欠かせない。そういうことがきちんとなされている状況下でこそ、風は風として効果を発揮するのだ。
統一会派結成により、国民民主党と立憲民主党は国会内で一定の数の議員の塊として活動することが可能となった。今度は、来る総選挙へ向けて両党が塊となって活動していく体制作りを進めていきたいところだろう。