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RPAの導入で行政コスト削減、国民民主党はクリエティブな政策集団を目指せ

 

 

 

ゴールデンウィーク明けに船出した国民民主党。同党ウェブサイトに記載された結党宣言、綱領、政策に目を通すと、人口減少・高齢化、縮退する社会をポジティブに受け止め、未来を創造していくという方向性が打ち出されていることに気づく。そのベースとしてテクノロジーをいかに使いこなすか、という点にも意識があるようだ。

 

国民民主党はその中で、次のように述べている。「私たちは政府の再配分機能を重視した政策を採用する。(中略)過重な行政コストのかからない効率的な政府を目指す」。

 

 

テクノロジーで行革を


こういうメッセージを発信している同党には、ぜひ、RPAの推進をおススメしたい。RPAとはRobotic Process Automationの略で、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉だ。「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも呼ばれ、人間の知能をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いる。主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を担う。RPAを行政システムに導入できれば、行政コストはぐっと減らせる。

 

RPAの導入による行政コスト削減は決して夢物語ではない。国内ではつくば市(茨城県)がNTTデータと共同研究をスタートさせている。反復作業が多く大量のデータを扱うなど、RPAと相性が良いとされる業務を対象に実証実験を行った。実験の結果、3カ月間で約116時間の業務時間の削減、年間換算で約336時間の削減を見込めることが確認された。削減率は79.2%という。

 

 

RPA導入に本腰のつくば市


今後、同市では共同研究成果を踏まえ、RPAの本格導入を目指す。市民税課・市民窓口課に加え、納税課・資産税課への導入を予定しており、来年度以降効果が見込まれる部署を対象に順次導入を行う予定だ。市民税課業務全体の5%にRPAを適用した場合、年間で約1400時間の作業を削減でき、約370万円相当の時間外勤務手当の削減を見込んでる。

 

このように、既に先進的な地方都市ではRPAの導入が検討されており、国もこれに倣うべきだろう。

 

 

政策で政党のクリエティビティを表現してほしい


テクノロジーで行革を実現していくという世論を国民民主党が主導できれば、行政改革の実現とテクノロジーに強い政党というブランディングも可能となる。ぜひ、そうした戦略をもって政策の発信を行ってほしいところだ。


加えてRPAの導入によって残業時間が減れば、これは働き方改革にも繋がる。労働人口の減少が叫ばれている中、RPAの導入で時間に余裕の生まれた公務員に副業を認めていけば、企業と公務員がタイアップした創造的経済活動も視野に入ってくる。政策を通じて、国民民主党がクリエティブな政策集団であることを世間に大いにPRできるチャンスになるだろう。

 

 

ウェブサイトを見る限り若干の不安も・・・


最後に一つ、指摘をしてきおきたい。テクノロジーへの重要性は理解しているように思える国民民主党だが、肝心のウェブサイトについては基本的なSEO対策がまったく取られておらず、お粗末以外何者でもない。「国民民主党」と検索しても、検索ページのトップに政党のウェブサイトが表示されないのである。google検索で上位には新聞各社の記事が表示され、その中にはネガティブなタイトルも存在する。国民民主党のウェブサイトが表示されるのは、3ページ目だ。これではウェブサイトは存在していないに等しい。SEO対策を施していない証拠だ。こういう状況を見ると、同党のテクノロジーに対する基本的なリテラシーが欠如しているように思われる。言行一致という意味でも速やかに対応してほしいところだ。