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安倍総理は嘘つきなのか

 

 

愛媛県で文書が発見される


 11日の衆議院予算委員会は紛糾した。特に午後は、立憲民主党の枝野代表と希望の党の玉木代表という野党の代表による質問が続き、二人から鋭い質問が飛んだことから、委員会室が騒然とする場面も何度か見られた。

 ⇒【動画あり】2018年4月11日 衆議院 予算委員会


 二人の代表が追及したのは、加計学園問題について。この問題に関して、愛媛県の担当者が保存していたとされるメモの存在がスクープされ、その中には、2015年4月2日に、当時の柳瀬唯夫首相秘書官や藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官と愛媛県や今治市の担当者が官邸で面会したこと、そして、そのやりとりの中で加計学園の獣医学部新設が「首相案件」であると語られたことなどが記録されていたことが明らかとされた。このメモについては、中村愛媛県知事が職員にも確認し、その内容は正しいとしたことから、国会でも取り上げられることになったのだ。

 ⇒加計学園問題 「本件は、首相案件」と記された文書の存在を確認


 
 そもそも、この愛媛県や今治市の担当者は官邸に訪問して、柳瀬氏らと面会したのではないかということは、自由党の森ゆうこ議員が2017年7月10日の加計学園参議院閉会中審査において、そして2017年7月24日の衆議院予算委員会閉会中審査では民進党の今井雅人議員が追及していた問題であった。当時、今治市が開示していた文書は黒塗り部分もあり、追及の決め手を欠いた状況にあった。そんな中、実際のやりとりの詳細まで記した文書が明らかになったことから、再度の追及劇となったのである。

 

 

安倍総理は内容を否定


 枝野代表や玉木代表は愛媛県で見つかった文書に記載されている柳瀬唯夫首相秘書官が愛媛県の担当者らと面会したのか否かを問い質した。また、愛媛県の文書の中には、安倍総理が随分前から加計学園の獣医学部新設構想について知っていたと類推される記述もあり、加計学園が正式に獣医学部の申請を行った際にこの件を知ったとする昨年7月の衆議院予算委員会での安倍総理の発言と矛盾するところがあるため、その矛盾が追及されたのだ。


 柳瀬氏は、自身の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の担当者を面会したことはないと答えている。さらに、安倍総理は愛媛県で作成された文書について政府として評価を行うことはしないと逃げ、柳瀬氏のことは部下として信頼していると答弁し、記憶の限り会っていないという発言を追認している。


 明確に会っていないとは応えず、記憶の限りないとか、あるいは記録が残っていないと逃げているのが現政権の姿勢である。

 

 

「嘘つき」と相手に言ったことはない


 安倍総理が気色ばんだのは、安倍総理と愛媛県の知事、どちらかが嘘をついていることになると追及された際だ。若いときから国会で様々な質問をしたが、相手に嘘つきだと言ったことはないと安倍総理は語気を強めて答弁した。

 

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※2018年4月11日 衆議院予算委員会


 中村知事は、職員の作成した書類を全面的に信頼していると記者会見でも述べている。対して、「記憶の限り、会ったことがない」と答えるだけの柳瀬氏。さらに、2017年当時の菅官房長官や萩生田官房副長官は、官邸の訪問予約届は遅滞なく破棄する取り扱いをしているとして、記録が残っていないと答えている。証拠を残している愛媛県や今治市と証拠は一切出せない政府。どちらの信憑性が高いかと言えば、明らかに愛媛県や今治市の方だろう。そして、どちらが嘘をついているのかと言えば、現段階では安倍総理の側の分が悪い。これまでの国会での答弁を振り返ると、安倍総理は図星を突かれると気色ばんで反論することからも、今回の嘘つきではないかという追及は核心を突いたのではないだろうか。

 

 

他の省庁でも面会記録が見つかる


 そうこうしていると、官邸側から文科省側に「官邸に愛媛県などが陳情に来るらしい」と連絡があったことが12日に明らかになったと報じられ、さらには農水省にも面会の記録文書が残っていたということまで報じられている。


 もはや記憶と記録が残っていないのは官邸だけで、訪問した愛媛県や今治市、さらに加計学園の獣医学部新設に関係した府省である文科省と農水省にも記録が残っていたことになってしまった。


 この状況で、嘘をついていないと言えるのか。嘘ではないとしても、もはや詭弁を弄するだけの存在に安倍総理は成り果ててしまっているのではないか。
 
 野党に批判的な論者や現政権を支持する論者の中には、愛媛県や今治市の担当者が柳瀬氏らと官邸で会い、申請に関して指南を受けていたとしても、それは違法ではないので問題と反論する向きもある。しかし、訪問自体は違法ではないにもかかわらず、その訪問そのものを柳瀬氏や安倍総理は否定しているのであり、そうであるのであれば、嘘をついてまで隠したい何かがそこにあると見るのが自然だろう。


 嘘をついてまで隠したい面会とは、いかなるものであったのか。いくつかのルートから、その面会に関する記録の存在が明らかになり始めており、それらを照合しながら、面会の真相に迫りたいところである。

 

 いくら嘘をついても、事実が次から次へと出て来ては、相当苦しい。どこまで嘘を重ねていけるのか。安倍総理は正念場を迎えつつあるのかもしれない。

 

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