8月10日に3回目の閉会中審査が実施予定となっており、自衛隊南スーダン派遣の日報隠ぺい問題が1つの焦点となりそうだ。
自衛隊南スーダン派遣に対し、政府はこれまで「自衛隊が活動する南スーダンの首都ジュバは比較的安定している」と繰り返してきたが、現地の部隊が作成した日報が発見され、そこに「戦闘」という文言があったことが明らかになり、様相は一変。
稲田防衛相を始め黒江事務次官、岡部陸上幕僚長が責任を取って辞任したが、未解決の事実もまだ多い。今後どのように収束していくのか気になるところだ。
そもそもPKOとは何か?
内閣府のサイトによると以下のように定義されている。
国連平和維持活動(United Nations Peacekeeping Operations:国連PKO)は、世界各地における紛争の解決のために国連が行う活動です。その業務としては、平和維持隊による停戦監視・兵力引き離し、停戦監視団(による停戦監視といったものが伝統的ですが、文民警察活動や、選挙、復興・開発、組織・制度構築を含む行政的支援活動も行われることが多くなっています。
話題となった自衛隊の南スーダン派遣
南スーダン派遣とは
南スーダン共和国に展開する国際連合平和維持活動 (PKO) のひとつ。
南スーダンでは日本のNGO(非政府組織)が、医療や教育・農業などで多く活動している。独立したばかりの国であるため、国際支援は政府の統治機能をつくることや農産物の生産性を上げることからも重要である。
南スーダン派遣理由
Q:なぜ南スーダンに自衛隊を派遣するのでしょうか? 日本にとって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
A:南スーダンは、長年にわたる内戦を経てスーダンから分離・独立したばかりの国です。こうした国がテロの温床となることなく平和と安定を実現するよう、日本を含む国際社会が協力して取り組まなくてはなりません。
実は南スーダン派遣は野田内閣(民主党)時代から始まった。
南スーダン派遣中の主な出来事
2013年12月 首都ジュバにおいてクーデター未遂事件が発生
第2次安倍内閣の防衛大臣小野寺五典(現在防衛大臣として再入閣)が対応したとされるが、当サイト調べでは記録が見当たらなかった。
クーデター未遂が起きたとされる南スーダンの首都ジュバで17日、対立する部隊間の戦闘が再び発生した。国連平和維持活動によると、一連の衝突で死者の数は数百人に上っており、多くの負傷者も出ているという。
他国の軍隊に武器弾薬を提供するという異例の対応
国連南スーダン派遣団に参加する韓国軍に陸上自衛隊の小銃弾1万発を譲渡したことについて、現地の治安が悪化する中で緊急性の高い人道的な措置であり、例外的な対応だと強調した。
2014年5月 小野寺五典防衛大臣がジュバを訪問 日本の防衛大臣としては初訪問
小野寺防衛大臣は、5月8日(木)、南スーダン共和国を訪問しました。同国を閣僚が訪問するのは、今回が初めてとなります。
2015年1月 中谷元防衛大臣が南スーダンを訪問
防衛大臣(中谷 元)が南スーダン共和国ジュバ市のUNトンピン内にある日本隊宿営地を視察した。
http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/activity/unmiss/unmiss_08.pdf
2016年7月 南スーダンは再び内戦状態へ
2016年10月 稲田朋美防衛大臣が南スーダンを訪問
2016年11月 安全保障関連法に基づく新任務「駆けつけ警護」等を新たに付与
稲田朋美防衛相は18日午前、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の部隊に「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防衛」の新任務付与の命令を出した。
「駆けつけ警護」「宿営地の共同防衛」とは
「駆け付け警護」は、自衛隊が外国でPKO活動をしている場合に、自衛隊の近くで活動するNGOなどが暴徒などに襲撃されたときに、襲撃されたNGOなどの緊急の要請を受け、自衛隊が駆け付けてその保護にあたるものです。
「宿営地の共同防護」は、自衛隊と他国の部隊の共同宿営地が暴徒などによる襲撃を受けた場合、一緒にいる自衛隊と他国の部隊が共に危険と判断し、連携して防護活動を行うものです。
2016年12月 日報隠ぺい問題が発覚!
防衛省が「日報はすでに廃棄された」として不開示。ところが同月、河野太郎元公文書管理担当相の要請で再調査してみると、統合幕僚監部に電子データのかたちで保管されていることが判明し日報隠ぺい問題が浮上。
南スーダン国連平和維持活動に派遣された陸上自衛隊の日報問題で、防衛省の陸上幕僚監部上層部が2月、陸自で見つかった日報の電子データを消去するよう指示した疑いがあることが17日、政府関係者への取材で分かった。
2017年3月 5月末をめどに派遣活動を終了する事を発表
突然の派遣活動終了に対し、多くの疑問の声や不正の隠ぺいのためではないかという疑義が上がっている。
日報隠ぺい問題の発覚理由と政府の対応
布施祐仁氏が防衛省にかけた情報公開請求がきっかけ
本来なら公開されることのなかったこの文書が明るみに出たのは、昨年9月、ジャーナリストの布施祐仁氏が防衛省にかけた情報公開請求がきっかけだった。
南スーダン撤退 あの日報を引きずり出した情報公開請求の「威力」(現代ビジネス編集部) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
半年前の日報情報が廃棄!?
今年7月に南スーダンのジュバで大規模戦闘が勃発した時の自衛隊の状況を知りたくて、当時の業務日誌を情報公開請求したら、すでに廃棄したから不存在だって…。まだ半年も経っていないのに。これ、公文書の扱い方あんまりだよ。検証できないじゃん。 pic.twitter.com/sSOpCexAR4
— 布施祐仁 (@yujinfuse) 2016年12月10日
自民党 河野太郎(現外務大臣)も問題視!
自衛隊の南スーダン派遣施設隊の日報とそれを中央即応集団司令部がまとめたレポート、電子情報の形で残されていたものが発見されました。必要なら情報公開請求にも対応できます。 pic.twitter.com/7y62Hd5aNn
— 河野太郎 (@konotarogomame) 2017年2月6日
自民党行政改革推進本部(本部長・河野太郎衆院議員)が「行政文書としての扱いが不適切」だと問題視し、データの存否を再調査するよう要求。
関係者は辞任して本問題から逃亡
稲田朋美・防衛相は7月28日、南スーダンに国連平和維持活動(PKO)で派遣された陸上自衛隊の日報問題をめぐる不祥事の責任を取って辞任することを表明した。
破棄したとしていた南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報が実際には保管されていた問題で、防衛省の黒江事務次官と陸上自衛隊トップの岡部陸上幕僚長がともに引責辞任することが分かりました。
8月10日 閉会中審査 自民党は稲田元防衛相の招致を拒否
布施祐仁氏が問題視するもう一つの問題
もう一つ重大な事実が明らかになった。それは、南スーダンに派遣される隊員の家族に対する虚偽の説明である。