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政権の最重要課題である拉致問題に全く進展のない安倍政権

 

横田滋さん逝去に際して

 5日、拉致被害者である横田めぐみさんの父・横田滋さんが亡くなった。

www.asahi.com

 

 昨年11月、87歳の誕生日に入院中との記事があったが。

www.asahi.com

 

 娘のめぐみさんの帰国を目にすることが出来なかった無念を思うと、胸が締め付けられる思いだ。

 

 政府が認定する北朝鮮に拉致され未帰国の被害者12人の親で存命なのは、横田早紀江さんと有本恵子さんの父・明弘さんだけになった。拉致問題解決に残された時間はそう長くない。

mainichi.jp

 

 横田さん逝去の報を受けて、安倍総理は記者団に対して「断腸の思い」と語っている。

www.jiji.com

 

 この安倍総理の言葉は空疎だとの批判も聞こえてくるところではあるが、国会議員の中で誰よりも早期から北朝鮮による拉致問題に取り組んできたのが安倍総理であることは間違いない。

 小泉首相が北朝鮮に訪問した際には官房副長官として同行し、北朝鮮に対して毅然とした対応を取るように発言したとされるのも安倍総理である。

 その安倍総理による「断腸の思い」という言葉に嘘はないだろう。

 しかし、自身が首相の座に就いてから拉致問題にまったく進展が見られないこともまた事実である。

 

 

安倍政権下で停滞する取り組み

 少なくとも、安倍政権下では拉致問題に対する取り組みは停滞している。

 

 昨年5月に本サイトでも取り上げたが、安倍総理はそれまでの強硬な姿勢を改めて、北朝鮮と無条件での対話を進めると表明した。

www.ksmgsksfngtc.com

 

 そこから一年が経過した今、振り返ってみてどうだろうか。

 少なくとも外から見る限り、北朝鮮との対話が進んだ様子はまったくない。水面下では交渉が進められているのかもしれないが、そのような対話の動きすら漏れ伝わってはこない。

 「外交の安倍」を標榜し、外交成果とされるようなことであればそれを誇示してきた安倍政権である。少しでも進展があれば、ここぞとばかりに宣伝したであろうことは想像に難くないが、そういうことすらないということは、まったくもって北朝鮮との関係構築は進んでいないということだろう。

 

 「拉致問題は政権の最重要課題」と、ことあるごとに強調してきた安倍総理。

www.sankei.com

 

 しかし、その取り組みは停滞し、問題解決の道筋は一切見えてこない。

 

 

安倍総理は自身のために拉致問題を利用したのか

 拉致被害者の蓮池薫さんの兄、蓮池透さんが横田滋さんの逝去に寄せて、安倍総理は責任を取るべきであるとのコメントを寄せている。

news.yahoo.co.jp

 

 蓮池さんのコメントの中には、「拉致のおかげで二回も総理になった安倍氏」という文言が出て来る。

 他の国会議員が北朝鮮による拉致を信じていなかった時に、拉致被害者家族の声に耳を傾けてくれた安倍氏が総理に就任するとなれば、当然に問題解決のための進展を強く期待したはずである。それは拉致被害者の家族だけではなく、少なくない日本国民もそう思ったことだろう。

 しかし、今となっては、自身の総理就任のために拉致問題を利用したのではないかとすら見られてしまっているのである。

 

 もはや、これ以上、待ち続ける時間は残されていない。政権の最重要課題と言い続けた拉致問題について一切の成果を上げていない以上、政権の座から退くことを検討すべきである。