霞が関から見た永田町

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「禍福は糾える縄の如し」とできるか、時差通勤やリモートワークが当たり前の社会へ

 新型コロナウィルス。一向に収束する気配がない。感染ルートが判明しない感染者が日本のみならず、世界各地で発見されるようになってきた。とうとう、世界保健機構(WHO)も新型コロナウィルスの短期間での封じ込めについて悲観的なコメントを発表するようになった。
 今回の新型コロナウィルスが経済に与える影響は今後、次第に大きくなっていくだろう。一部には「東京オリンピック・パラリンピックの開催が難しくなるのではないか」との報道も見られるようになってきた。
 こうした報道が「あまりにも悲観的過ぎ」と一蹴できないところに、現在の新型コロナウィルスの不気味さがある。一度罹患した患者が回復後に、再び感染したとの報道もあるなど、通常の感染症では考えられない事例も現れているからだ。ワクチンが登場するまでにはもう少し時間も要するだろう。今しばらくの辛抱が必要だ。

 

GMO熊谷氏の発言が今後与える影響は大きい

 さて、そういう中で、今回の新型コロナウィルスによって、日本社会をアップデートする余地が生まれつつある。大手IT企業のGMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長は、2月16日に自身のtwitterで次のように発信した。
 「在宅勤務開始から3週間。何が凄いかと言うと、業績に影響がほぼ無い。この結果を見て、そもそもオフィスが必要なのか真剣に考えている(汗)。在宅勤務の判断は正しいと評価されているけど、駅前のオフィスを一棟丸ごと借りている判断はどうなんだ?」(原文ママ)。
 GMOインターネットグループは新型コロナウィルスの報道が始まった初期の段階で、渋谷、大阪、福岡のオフィスに勤務する従業員に対して早々に在宅勤務を命令していた。熊谷氏が言う、駅前のオフィスとは昨年渋谷に開業したばかりの「渋谷フクラス」のことだ。渋谷スクランブルスクエアと並んで、今、渋谷に相次いで開業した注目の再開発ビルである。

日本をアップデートせよ

 今回の熊谷氏の発言の影響は大きい。東京の一極集中が叫ばれて久しく、都市への人口流入は世界的な流れだ。山手線はいうに及ばず、京王線、小田急線、西武新宿線、西武池袋線、東急田園都市線に、東急東横線、京急と山手線に接続する、郊外から繋がる鉄道の朝夕のラッシュは一向に収まる気配はない。
 通勤時間を過ぎてもなお、主要駅の混雑ぶりは目をみはるほどだ。東京というメガシティがワークしているようには思えず、この状況で東京オリンピック・パラリンピックを開催した時に社会生活は遅滞なく運営できるのだろうか、と不安に思う人は少ないないだろう。
 国会でも長らく働き方改革やワークライフバランスが議論されてきた中で、企業をはじめとする社会全体に蔓延する、なんとなくの社会常識に阻まれ、テレワークやパラレルワークはなかなか実行に移されなかった。
 今回のコロナウィルスで少なくともテレワークは各社が導入を始めており、そういう中での熊谷氏の発言は極めて重要である。

オンライン党大会を開いた国民民主党の先進性

 今はひたすら、新型コロナウィルスが収まるのを待つよりほかないが、この状況下にあって、図らずも企業や永田町、霞ヶ関がシフトしたテレワークは今後も続けていくのがいいだろう。そのために必要な国会の議論は何か、を各党には考えてもらいたい。
 そういう中、2月22日、国民民主党は党本部で党大会を開催した。企業と同様、新型コロナウィルスの影響を考えて、オンラインでの党大会の参加を実施し、当初500人規模での開催予定だった党大会は100人が党本部に集結し、300人はオンラインに切り替えたという。この取り組みは画期的なことだ。政党、政治家自身がオンラインで何がやれるかを実感した意義は大きい。この経験をぜひとも、国会の中で展開してほしいものだ。