今回の衆議院議員選挙は、22日の日曜日が投開票日である。
公示日であった10日の次の日、つまり11日から期日前投票は始まっており、総務省発表の中間状況では、前回2014年の衆議院議員選挙を上回る投票を記録している。投開票日の前の日である21日まで、期日前投票が可能である。
22日が総選挙投票日 台風の影響は!?
そんな中、22日から23日にかけて、台風が沖縄から西日本に接近するという予報が出ている。早速、各党の代表らも街頭演説で期日前投票を呼びかけ、選挙管理委員会も同様に期日前投票を勧めている。
期日前投票は、各自に送られている「投票のご案内」を期日前投票を受け付けている場所に持って行けば、容易に行うことが可能だ。案内がなくても、身分を証明する免許証などを持っていれば、投票を行うことが可能である。
一般的に、投票率が下がると、組織票の支持を受ける政党に有利になると言われている。投開票日に天気が悪くなると、どうしても投票率が低下するとされている。天気が悪くとも、特定の政党を支持する組織の一員であれば何としても投票所に足を運ぼうとするが、強く支持する候補者がいなければ、どうしても投票所へ足が遠のく。こうして、投票率の低下は組織の支持を受けた政党の候補者に有利に働くとされるのである。
ただ、この天気と投票率の関係は一般的に思われていたように連動しているわけではなさそうだ。
明るい選挙推進協議会による「第47回衆議院議員総選挙の実態」では、前回2014年の衆議院議員選挙における棄権の理由に関する調査結果が公開されているが、「天気が悪かったから」という理由はわずか1.3%であった。一番の棄権の理由は、「選挙にあまり関心がなかったから」の23.4%で、次に18.3%の「仕事があったから」が続く。複数回答が可能な質問が行われており、それでも天気の悪さを選ぶ人は極めて少ない。
さすがに、台風が直撃するような荒天の中で投票所に足を運ぶのかとなると、それは難しいかもしれないが、少々の雨くらいであれば、選挙に関心がある人は投票所に足を運ぶのである。
期日前投票は戦略的に利用されている?
ところで、期日前投票は各陣営で戦略的に利用されている可能性がある。
例えば、こうだ。まず、選挙期間中に、ある候補者が会社の朝礼などに合わせ演説会を設定する。ひとしきり演説を行った後、「では、この後、是非に期日前投票へ」と挨拶する。その朝礼の後、その会社は会社の自動車などを使って、期日前投票を実施している投票所へ社員を行かせる。こうすれば、直前の印象も強く残り、その候補者への投票が期待される。
企業だけではなく、各種団体や宗教関連の組織など、人を集めることが出来れば、この手法は利用可能だ。大きなターミナル駅で党の幹部などが街頭演説するとなれば、動員をかけて人を集め、帰りに皆で期日前投票にという導線を描くことも出来る。
期日前投票所の外では、各種マスコミが出口調査を行っている。これは、事前の情勢判断や投開票日に行う当確の判断の根拠に使われる。
調査手法について詳しいことは不明だが、おそらく、上に書いたような戦略的な期日前投票が行われていることも見越して、期日前投票に関する出口調査の結果については一定の補正をかけているはずであるが、それでもその調査の結果は一定の組織を持つ政党に有利な結果が出がちになるのではないだろうか。
期日前投票は、2003年の公職選挙法改正により、不在者投票制度の要件緩和を行うことで実現したものである。何度かの選挙を経て、その存在について認知も広がっている。投票全体でも一定の割合を占めるようになっており、接戦の選挙区では期日前投票の趨勢で勝敗が決まる可能性もある。いまや期日前投票も見逃せない。