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有効求人倍率1.55倍、43年ぶり高水準、ブラック企業から労働者を守る法案とは?

 

12月1日、厚生労働省は2017年10月の有効求人倍率が9月より0.03ポイント上がり1.55倍となったことを発表した。4ヶ月ぶりの上昇で、1974年1月以来、43年9カ月ぶりの高水準となった。 

 

 

 

 

 

有効求人倍率、大学生内定率ともに過去最高水準へ

 

有効求人倍率とは?

 

有効求職者数に対する有効求人数の比率のこと。有効求人 (求職) とは,新規求人 (求職) と,前月から繰り越された求人 (求職) とを合計したものをいう。有効求人倍率は,労働市場の需給状況を示す代表的な指標である。また,新規求職者数に対する新規求人数の比率である新規求人倍率は,労働市場の先行き的な働きを示すものとしてよく用いられる。なお,有効求人倍率は公共職業安定所を通じた求人・求職に限られること,また,新規学卒者は除かれている点に留意する必要がある。

有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)とは - コトバンク

 

 

求人、求職及び求人倍率の推移

 

f:id:araaaaan:20171204164318p:plain (参考:一般職業紹介状況(平成29年10月分)について |報道発表資料|厚生労働省

 

大学生の就職内定率も最高水準に

 

2018年3月に卒業する大学生の就職内定率が上がっている。10月には、9割の学生に内定*が出ている。2017年新卒の就職率は約76%であったが、昨年の内定率と比較すると今年はさらに就職率の上昇が見込まれる。
*就職内定率とは、就職を希望する学生のうち、企業から内定を得られた人の割合である。

 

来春に卒業予定の大学生の就職内定率は、10月1日現在で75・2%だった。前年同期を4・0ポイント上回った。2年連続で改善し、調査を始めた1996年度以降で最高水準となった。厚生労働省と文部科学省が17日発表した。厚労省は「企業の人手不足感が強まり、採用活動が前年より早まった影響が出た」と分析している。

大学生の就職内定率75.2% 10月時点で過去最高:朝日新聞デジタル

 

 

 内定率の推移

そんな中、ブラック企業(長時間労働や不当な雇用契約)が問題に

 

大手企業で相次ぐ過労死、自殺が発覚している

 

過労死ラインとは健康障害リスクが高まるとされる時間外労働時間のことである。労働災害認定で労働と過労死との因果関係判定に用いられる。

 

日経平均株価を構成する東証1部上場225社の過半数にあたる125社が今年7月時点で、「過労死ライン」とされる月80時間以上まで社員を残業させられる労使協定を結んでいたことが朝日新聞の調べでわかった。うち少なくとも41社が月100時間以上の協定を結んでいた。政府は、繁忙月でも月100時間未満に残業を抑える罰則付き上限規制を2019年度にも導入する方針。日本を代表する企業の多くが協定の見直しを迫られそうだ。

残業上限、5割超が過労死ライン 朝日主要225社調査:朝日新聞デジタル

 

大手自動車メーカーは期間従業員の無期雇用への転換を免れている!?

 

改正労働契約法により、非正規社員が同じ会社で5年以上働いた場合、無期雇用に転換できる「5年ルール」を定めた。しかし、大手自動車メーカーでは契約終了後から6ヵ月以上の「空白期間」を設け、契約期間はリセットするなどして無期雇用を回避していた。

 

トヨタ自動車やホンダなどの大手自動車メーカーが期間従業員の無期雇用への転換を免れている問題で、加藤勝信厚生労働相は7日、実態調査を始めたことを明らかにした。6日付で大手メーカー8社の本社がある6都府県の労働局に指示した。「(労働契約法が定めた)無期転換ルールの趣旨を踏まえて適切に対応する」という。

車大手の無期雇用回避、実態調査を開始 厚労相が指示:朝日新聞デジタル

 

 

ブラック企業から労働者を守る法案を超党派が国会に提出

 

労働者をブラック企業から守る「ワークルール教育推進法案」

 

超党派の国会議員が30日、労働法規やその活用法に関する教育を進めるための議員立法「ワークルール教育推進法案」をまとめた。各党から意見を募った上で、来年の通常国会に提出する予定。若者を使いつぶす「ブラック企業」が社会問題化する中、国民に労働に関するルールを理解してもらい働く人を守ることを目指す。

https://mainichi.jp/articles/20171201/ddm/012/010/047000c

 

「ワークルール教育推進法案」のポイント

 

「ワークルール教育推進法案」の要点


・厚生労働省と文部科学省は教育推進の企保運的な方針を定める
・政府は施策の実施に必要な予算を確保する
・自治体は国と協力する責務を負う
・国と自治体は小中学校などの授業で体系的な教育の機会を設ける
・国と自治体は企業や労働組合に研修を実施し、情報も提供する
・国と自治体は公民館などで住民の求めに応じた教育を行う

 

国や地方自治体が、大学での教育に取り組むように呼びかけたり、社会人でもこの教育を受けられるように必要な措置をとることを求めている。