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景気は本当によくなっているのか!?株価が上がっているのに個人が実感できない理由

 

2012年12月から4年半、景気拡大が続いている。これは1990年前後のバブル経済期より長く、戦後3番目である。しかし、一方では個人の消費は減少しており、景気回復を実感していない人が多いというのも事実である。なぜこのような矛盾にも思えるような現象が起きるのかを考えていく。

 

 

www.nikkei.com

 

 

 

 

そもそも景気を表す指標はどんなものがあるのか? 

 

景気がいいときは個人の消費活動が活発となり「物・サービスが売れる」、物・サービスの販売数が増加する分、生産力を高めるために多くの企業が求人を募集するため、「求人が増加する」、求人が増加するため人への競争力が高まり、「賃金が上がる」。これらの景気回復の傾向を判断する指標として、景気動向指数やGDP、株価などがある。

 

景気動向指数

 

景気動向指数は先行指数、一致指数、遅行指数から景気全体の現状や動向を予測することができる。

 

多数の経済指標の変化方向を合成することにより景気局面を把握するディフュージョン・インデックス(DI)と、景気動向を量的に把握することを目的としたコンポジット・インデックス(CI)の二つの種類がある。

景気動向指数 - Wikipedia

 

現在の景気動向指数

 

10月の景気動向指数は、一致指数が前月比から0.3ポイント上昇した116.5であった。雇用の拡大や、海外需要などを理由に2ヵ月ぶりに改善された。

 

www.jiji.com


 

GDP

 

国内で生産されたサービス、商品の付加価値の総額のこと。国内総生産。

 

国内総生産(こくないそうせいさん、英:Gross Domestic Product、GDP)は、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことである。

国内総生産 - Wikipedia

 

GDPには2種類あり、名目GDPと実質GDPというものがある。その違いは以下のようになる。例えば、とある年に、100円のコーラを10本販売したとする。この場合のこの年のGDPは、100円×10本=1,000円となる。では、翌年に、コーラの値段を100円から110円に値上げして10本販売したらどうなるか。名目GDPは、110円×10本=1,100円と算出するが、実質GDPの計算では10円の値上げ分は考慮されないので、実質GDPは昨年と同じく1,000円となる。

 

・名目GDP

国内で生産された物やサービスの付加価値を足したもの。物価の変動が反映された数値。

 

 ・実質GDP

国内で生産された物やサービスの付加価値を足したものから、物価の変動の影響を引いたもの。物価の変動が反映されていない数値。名目GDPから物価の変動によって出た影響を引いた数値が実質GDPとなる。

 

現在のGDP

今年7月から9月までのGDPの改定値に新たなデータを反映し、速報値の1.4%から2.5%増に上方修正したことを発表した。GDPがプラスとなるのは7四半期、1年9ヵ月連続で、平成6年以降初めてである。しかし、GDPの半分以上を占める「個人消費」はマイナス0.5%にとどまった。

 

内閣府が8日発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.6%増、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で2.5%増だった。プラス成長は7四半期連続で、比較可能な1994年4~6月期以降で最長となった。

年2.5%増に上方修正=最長の7四半期連続プラス-GDP7~9月期改定値:時事ドットコム

 

株価

景気と株価との関係は、景気と会社の業績の関係に置き換えることができる。

景気と株価との関係は、景気と会社の業績の関係に置き換えることができます。景気と会社の業績は互いに影響し合うので、一般的には、景気が良くなれば会社の業績も良くなり株価が上昇し、不況になれば会社の業績が悪化し株価は下がります。

景気と株価 | 日本証券業協会

 

 

現在の日本の株価

日経平均株価が26年ぶり高値を付けるなど、世界的に株高が広がり、資産運用の好環境が続いている。

 

日経平均株価が26年ぶり高値を付けるなど、世界的に株高が広がり、資産運用の好環境が続いている。個人のおカネを集めて運用する投資信託も成績が上がっている。2017年、個々の投信はどれだけ稼いだか、実力を点検する。

8割が日経平均超え、日本株アクティブ型 相場復調追い風 :日本経済新聞

 

景気を表す指標は回復基調であるにも関わらず、景気回復を実感していない人が多い!?

 

朝日新聞は日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新したことを受けて、景気回復の実感があるかの調査を行った。結果は、景気回復を実感をしていない人が80%以上であった。

 

朝日新聞社が11、12両日に実施した全国世論調査(電話)で、景気がよくなったかどうかの実感を尋ねたところ、「あまり」と「まったく」を合わせ、「実感していない」は82%に上った。日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新したことを受けて尋ねたもので、逆に「実感している」との回答は、「ある程度」と「大いに」を合わせて16%にとどまった。

景気回復「実感していない」82% 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル

 

 

景気回復の実感がないのは賃金が上がらないからである

 

2017年3月の実質賃金は、10ヵ月ぶりに前年を下回っていた。

 

名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は前年同月と比べて0.8%減った。減少は2カ月ぶり。3月は消費者物価が上昇し、消費者の購買力につながる実質賃金を押し下げた。

給与総額10カ月ぶり減 3月、実質賃金も減 :日本経済新聞

 

GDPに2種類の数値のはかり方があるように賃金も同様に2種類の数値のはかり方がある。

 

・名目賃金

受け取った給与そのものの金額。現金で支給された給与額のことである。

 

・実質賃金

 名目賃金から物価指数を除いたもの。

 

名目賃金とは、労働者が労働の対価として受取る経済的報酬が賃金であるが,これを貨幣単位の金額で示したものをいう。これに対し名目賃金の購買力,すなわち名目賃金で実際に購入しうる生活諸資料の量で示したものを実質賃金という。

名目賃金(めいもくちんぎん)とは - コトバンク

  

賃金は上がらずに求人が増えているという現状

 

2017年10月の有効求人倍率は1.55倍で1974年1月以来、43年9カ月ぶりの高水準であった。また、求人が増えたことにより、景気動向指数の景気の現状を示す「一致指数」が改善されたという数値が出ているが、本当に正しいのだろうか。

 

1974年1月以来、43年9カ月ぶりの高水準。景気のゆるやかな回復を背景に、製造業を中心に幅広い産業で求人が増えたことが寄与した。

求人倍率、1.55倍に上昇=43年9カ月ぶり高水準-10月:時事ドットコム

 

景気の現状を示すことし10月の「景気動向指数」は、人手不足で求人が大きく増えたことから2か月ぶりに改善しました。

10月の景気動向指数 2か月ぶりに改善 求人増で | NHKニュース

 

求人が増加しているように見えるのはアルバイトやパートなどの非正規雇用労働者の増加が要因?

 

求人は増え、退職者は横ばいのため、雇用労働者が増えている。しかし、増えているのはアルバイトやパートなどの非正規雇用労働者である。

 

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茂木敏充経済財政担当相は景況感について「緩やかな回復基調が続いている」と述べているが、GDPや株価が上がっていても、個人の所得や消費が増えていない。有効求人倍率や求人の数が増えているとも伝えているが、統計の数値の取り方により、見え方が変わるという指摘もされており、統計の早急な見直しが求められる。

このような現状を加味するとアベノミクスは成功しているとは言えないのである。