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党首討論の実質化のために

 

 

 

1年5か月ぶりの党首討論


30日、2016年12月以来1年5か月ぶりに党首討論が行われた。
安倍総理に対して、立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木共同代表、共産党の志位委員長、日本維新の会の片山共同代表が質問に立った。


配分された持ち時間はそれぞれ、枝野代表に19分、玉木共同代表に15分、志位委員長に6分、片山共同代表に5分であった。


これでも、枝野代表の配分時間は、無所属の会の岡田代表に配分されていた時間を譲られたことにより割増しになっている。その時間の短さもあって、議論に深まりは見られなかったというのが大方の評価だろう。

 

 

質問のメインテーマ


 そもそも、それぞれの質問者に与えられた時間が短いものであったため、限られたテーマに関して数度の質問を安倍総理に行って終了というかたちにならざるを得なかった。


 枝野代表と志位委員長は森友学園・加計学園問題に関する質問を、玉木共同代表は日米の貿易問題を、片山共同代表は内閣人事局制度を、それぞれ主に取り上げた。


 安倍総理の答弁に時間を要したこともあり、議論が深まることはなかった。例えば、枝野代表の持ち時間のうち安倍総理の答弁は13分近くに及び、なおかつ、その大半は質問とは必ずしも関係のないことを長々と話し出すという、いつもの安倍総理お得意の答弁に終始したため、議論が深まることにはならなかった。答えにくい質問を枝野代表が投げかけたということもあるだろうが、安倍総理は正面から応答することのなく、関係のない点について時間をかけて説明していたように思う。

 

 その様子を見て、「また野党はモリカケ問題を取り上げている」とか、「議論になっていなかった」といった声も聞こえてきそうなところだが、久しぶりに行われる党首討論であり、直近で国会でも取り上げられてきた森友学園や加計学園の問題について問い質すのは野党としては当然のことであり、議論になっていなかったと言っても、それは野党側だけではなく応答側の安倍総理にも相応の責任がある。

 

 ここで注目したいのは、事前に調整を行ったのかどうか不明だが、枝野代表と玉木共同代表は別々のテーマを取り上げていたことだ。限られた質問時間を有効活用するという意味では、両者が異なるテーマを取り上げたのは好判断と言えよう。


 特に玉木代表が安倍総理の対米関係での政策上の不手際を的確に突いていた点は注目される。森友・加計学園問題を取り上げても、取り上げなくても、いずれの場合でも批判されることになるであろう中で、あえて取り上げないという判断をしたのは、今後の国民民主党の活動を考えた上でも好判断であった。

 

 

討論の実質化の必要性


 いわゆる国会改革の一環として創設された党首討論であるが、今回行われたものに限らず、なかなか討論として成り立っていないというのが実情だ。
 まず党首討論の時間が決して長くない。さらに、実施自体が不定期である。これは、当該週の国会の委員会に首相が出席する機会がないときに行うというしばりがあるゆえに、実施に至らないということがある。


 さらに、党首討論と言っても、実態は総理大臣に対して主に野党の党首が質問を浴びせかける場になってしまっているため、結果として、野党が政権の問題を十分に追求出来たか否かが焦点となってしまうという問題点がある。党首討論の場で何か問題の核心が明らかになるということは予想し難く、終わってみれば、芳しくない印象が残るというのが実情であろう。

 

 与野党ともに思惑があって、実施されたりされなかったりする。実施されても、時間が短く、各テーマについて十分な討論とならない。これでは、実施しても消化不良感が残るだけである。


本来、「討論」ということなので、どちらかが質問者でもう一方が答弁者ということは固定されず、それぞれが質問と回答をし合うのが基本のはずだ。あるテーマについて賛否それぞれに分かれて、討論するというのが本来のあり方であるのだ。しかし、実態は総理へ向けた一方通行の質問の場になってしまっている。これも結果として消化不良感が残る理由だ。

今回、党首「討論」の兆しが玉木共同代表と安倍総理とのやり取りで垣間見えた。玉木共同代表が自身の意見、その根拠となる事実、問題の背景をコンパクトにまとめて、それを安倍総理に対して投げかけ、かつ安倍総理も玉木共同代表の投げかけに正面から応答したことによる。


回数や時間に制限がある中でも、登壇者のこころがけ次第で、まだまだ討論が成立する余地があると言えよう。

 

新たに党首討論に登壇した玉木共同代表が改善の兆しをもたらせてくれたことを考えると、今後、党首討論の実質化へ向けて、次回以降にどのような動きがあるのか注目される。次にいつ実施されるのかは不透明であるが、次の党首討論が楽しみである。