霞が関から見た永田町

霞が関と永田町に関係する情報を、霞が関の視点で収集して発信しています。

MENU

ミソ続きの東京オリンピック、竹田会長の国会招致を

 

 

 

振り返ってみれば、東京オリンピックはなんとも、ミソ続きである。例えば新国立競技場。2012年11月にザハ・ハディド案が最優秀案として一度は選ばれたものの、白紙撤回されて、再コンペの結果、新たなA案へ。一連のゴタゴタによって、新国立競技場の完成は結局当初から大幅に遅れ、今年11月にようやく竣工の見通しである。

 

小池都知事にも振り回された。築地市場の豊洲移転は「大山鳴動して鼠1匹」よろしく、地下ピットの話も、盛り土の話も技術的には何の問題もなかったことがのちに判明したものの、結局、これにより豊洲市場移転は大幅に遅れた。

 

割りを食ったのは東京オリンピックである。豊洲への移転の遅れが原因で、築地市場跡地を利用して建設される予定だった環二通りの、五輪開幕までの開通が不可能となった。これにより東京オリンピック・パラリンピックに関連する輸送は晴海通りや有明通りなど、従来の道路を使用することになっている。オリンピック・パラリンピック期間中に激しい交通渋滞が起こるだろうと言われている所以である。

 

まだ、ある。テニス会場の改修を請け負った施工会社は経営破綻してしまったし、水泳会場に使われる免震・制振装置は国の基準を満たしていない恐れがあることが発覚し、大騒ぎになっている。水泳会場となる「東京アクアティクスセンター」に設置された32本のダンパーが問題視されており、安全性の確認が急がれている。果たして2020年に間に合うのだろうか。

 

 

以前から囁かれていた竹田会長の噂


このほど左様に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは誘致当初から多くのミソをつけてきて、今日に至っている。

 

こんなミソ続きの東京オリンピック・パラリンピックだが、極め付けは、日本オリンピック委員会(IOC)の竹田会長の、東京オリンピック誘致における贈収賄容疑である。

 

実はこの問題は日本のメディアが報じなかっただけで、すでにかなり前から囁かれた案件である。例えば、2016年には、イギリスの高級紙「The Guardian」が、東京五輪招致委員会が国際オリンピック委員会(IOC)委員を「買収」していたと報道している。その後、国内でもFACTAが2018年になって、サイン入りの領収書まで公開する形で、お金の流れを詳細にレポートした記事を掲載し、業界では相当な話題を呼んだ。そして今年1月にフランス捜査当局による本格捜査に着手のニュースである。日産ゴーン氏の逮捕に対するフランスの意趣返しという言論も一部にはあるものの、過去を振り返ってみれば、ずっとくすぶっていた疑惑であることは疑いようもない。

 

しかも、1月15日の記者会見だ。わずか7分で打ち切られ、竹田会長が一方的に発言し、質疑応答の時間も設定されず。会場を後にする竹田氏の背中には、記者会見に集まった記者から「質問に答えてくださいよ!」という罵声にも似た声が飛び交ったとされる。

 

 

今度のオリンピックは日本に何を残すのだろうか?


前回の東京オリンピックは日本の戦後復興の大きなターニングポイントとなった。果たして2020年の東京オリンピック・パラリンピックはどうだろうか?

 

少子化・高齢化、人口減少。そして、財政難にあえぐ国家と地方自治体。せめて、東京オリンピック・パラリンピックはそういう先行き不透明な時代の雲を吹き払うイベントとなってほしいところが、こうして振り返ってみると、ミソ続きで、なんとも嫌な未来を暗示しているかのようだ。

 

オリンピック・パラリンピックは基本的には民間の商業イベントとはいえ、そこには国も様々な形で関わってきたし、何より、金権まみれのイベントであっていいはずもない。ここはぜひ、国会に竹田氏を参考人招致をして、その真相に迫る努力が必要なのではないだろうか。