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旧みんなの党落選組はどこへ行く?統一地方選を展望する

 

 

 

2019年4月、統一地方選挙が控えている。この選挙は野党の今後を占う重要な選挙になりそうだ。なんといっても、2019年は12年に1度の、参議院選挙を後ろに控えた統一地方選挙となるため、野党各党がどれだけ議席を得られるか、はとても重要だ。それは単に議席数というよりも、立憲民主党、国民民主党、あるいは日本維新の会などが地方選挙でどれだけの票を得るのか、その票数はそのまま、夏に控える参議院選挙の選挙区での得票数に直結する。

 

 

前回は共産党が躍進した


既に自民党や公明党、共産党などは来年の統一地方選挙に向けて1次公認を発表している。2015年の前回の統一地方選挙では躍進したのは、実は共産党だった。少し振り返ってみよう。

 

広域自治体である道府県議選挙で改選前に80議席だった共産党だが、2015年の統一地方選挙では111議席と大幅に増やした。この選挙で同党はこれまで空白件だった、栃木、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀、福岡の7県で議席を獲得することで、空白県を解消するほどの躍進だった。

 

同党として初めて、全国すべての都道府県議会に議席を得たのが2015年の統一地方選挙で、退潮傾向にあった共産党がここまで躍進した背景には、他の野党がまったく存在感を示せていなかったことがあった。この時の共産党の躍進がその後の野党共闘の流れを加速させたといってもいいだろう。

 

 

共産党の固定票を欲しがる野党幹部


共産党の組織票は公明党と同様、手堅く、必ず選挙に行く票だ。そのため、共産党が2015年に獲得した固定票はその他の野党にとってはとても魅力的に見えたし、そう感じても不思議ではない。

 

しかし、共産党との野党共闘は諸刃の剣だ。その票欲しさに連携すると、本来取りにいきたい無党派層の票が離れてしまうからだ。不思議なことに、このロジックがわからない、あるいは分かっていても、選挙に行くか行かないか分からない無党派層よりも絶対に選挙に行く固定票(共産党票)がほしいと考える野党幹部も多かった。

 

野党共闘への親和性の高い国会議員は「政策のすべてで合意しているわけではない。あくまで安倍政権との向き合い方で一致している状況においてのみ、ともに戦うのだ」と主張するが、それは国会議員の、永田町の論理でしかなく、やはり有権者から見ると、共産党と一緒に戦う選挙には違和感を覚えるものだ。

 

共産党アレルギーが民進党の分裂引き金に


この辺りの路線の違いが、昨年、細野豪志衆議院議員がファーストペンギンとして民進党を飛び出し、小池都知事とともに新党を立ち上げるに当たっての、一つの大きな問題意識になっていた。

 

さて、あれから4年が経ち、2018年の衆議院選挙で判官贔屓も手伝って立憲民主党が躍進し、共産党は現状維持となった。基本的には、この流れは変わっておらず、それは政党支持率にも表れている。

 

 

認知を上げることが急務の国民民主党


若干、厳しい状況に置かれているのは国民民主党だろう。政策だけで評価すれば、国民民主党がまさに中道であり、日本の置かれている現状認識や将来に対する展望も含めて、最もバランスが取れた政党だ。当然、都市部を中心に無党派層にもフィットする政党だが、残念ながら、有権者への認知がまったく足りていない。商品でもなんでもそうだが、認知されないことには選択肢にならないのだ。

 

そういう意味では、統一地方選挙まで1年を切った今、残された時間は本当に短いが、国民民主党はその認知をどう向上させられるかは非常に重要な戦略になるだろう。

 

 

旧みんなの党をスカウトせよ


そして注目はみんなの党の落選組だ。もう多くの人は忘れていると思うが、2015年の統一地方選挙では、みんなの党は消滅し、行き場を失ったまま落選した地方議員が数多く存在する。玉石混交とはいえ、一度は地方議員を経験した者たちであり、彼らの中には捲土重来を期しているものもいる。

 

国民民主党がこうした経験者も含めて、広くスカウトできるかどうかは一つのポイントになるかもしれない。旧みんなの党は改革派保守政党を標榜していたのだから、間違っても立憲民主党には行かないだろう。国会議員の中には、旧みんなの党出身でありながら、立憲民主党に在籍している人もいるが、正直、違和感しかない。