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竹島問題に型通りのパフォーマンス合戦ではなく、実効的な批判をした玉木代表

 

 

 

韓国国会議員団が竹島に上陸

 

幾度となく繰り返される行動に対して、政府の対応は果たして十分と言えるのか。加熱する日韓関係の行方を懸念する声が確かに高まっている。またもや韓国の議員が竹島に上陸したという。

 

つい先ごろ、韓国が不当に実効支配する竹島を含む日本海の島嶼群の領土防衛訓練を実施した際にも大きくニュースに取り上げられた。今年は規模が大きくなり、日本政府が決めた輸出管理に対する意思が込められているとも言われる。

 

日本政府は時に厳しく、時に柔軟に、硬軟バランス自在に外交交渉を繰り広げている。表舞台では語られることのない水面下の交渉の数々は、ときとして国際社会を揺るがす結果にもなりうるだけに、外交交渉は綱渡りの連続だったりもする。

 

そんな外交交渉の裏舞台を知る術もないが、残念なことに韓国政府の感情的な対応が先に立ち、日韓関係はいつもになく冷え込んでしまっている。

 

 

竹島は日本固有の領土

 

言うまでもなく、竹島は日本固有の領土であり、これは歴史的にも国際法上も明らかである。ここで一度、竹島についておさらいしておこう。

 

外務省が公表している竹島に関する情報によれば、竹島は島根県に属する日本海に浮かぶ島で、歴史的には17世紀にはすでに文献などにも記述がみられ、領有権が確立していたと考えられる。20世紀に明治政府により竹島は島根県に編入され、国際的にも領有権は明確だった。

 

さらに、第二次大戦後の戦後処理を行なったサンフランシスコ平和条約の準備段階で、韓国政府が日本の放棄すべき地域に竹島を加えるよう主張したのに対して、アメリカ政府はこれを明確に拒絶している。竹島が当初から日本領であることが理由だ。これはアメリカ政府が公開した外交文書で明らかになっている。国際法以上も竹島の領有権が日本にあったことは、世界が認める事実だったのである。

 

 

防空識別圏の変更をズバリ指摘した玉木代表

 

当然のことながら韓国の愚行に政府は菅官房長官が、「竹島は歴史的事実や国際法上も明らかに日本固有の領土であることに照らし、到底受け入れられない」とコメントし、その立場を表明した。

 

同様に、国民民主党の玉木雄一郎代表は、「彼らの行為を断固として非難する。浅はかなパフォーマンスでしかない。韓国にとっても、日米韓の連携にとっても、地域の平和と安定にとってもマイナスでしかない」と韓国側の行動を批判した。立憲民主党の枝野代表も記者会見で「竹島が日本の領土であるのは明確だ。日本政府には毅然とした対応を求めたい」とコメントをした。

 

一連の対応はもちろん当然のものではあるが、これに付け加えて明確な主張を展開したのが、国民民主党の玉木代表だ。玉木代表は9月1日にツイッターで次のように投稿した。

 

「政府は、ただ遺憾と言うだけでなく、少なくとも、米国とも協議して、竹島上空を日本のADIZ(防空識別区)に組み込むべきだ。実は、我が国が領土だと主張する竹島も、そして、北方四島も日本ADIZの対象に入っていない。これでは、日本の本気度が疑われる。」

 

この投稿には、日本の防空識別圏(ADIZ)を示す地図も添付されていて、その主張がよくわかる内容になっている。

 

防衛省が公開している「わが国及び周辺国の防空識別圏(ADIZ)」によると、竹島は韓国のADIZ内にあり、日本のADIZは竹島の手前までとなっている。ちなみに北方四島も同様に手前までとなっているのが実情である。ここに日本政府が「領土問題」として位置づけている北方領土問題と竹島問題の根深さが表れているともいえよう。

 

安倍首相が在任中に一定の成果を上げたいと考えていると言われる日露外交の問題と同様に、領土問題が存在する竹島問題についても、1日も早い問題の解決が望まれる。
こうした時に、玉木代表のはっきりとした主張は、日本国の国益を代弁する政治家として相応しいものだったといえよう。玉木代表の強い意思を持った一つのツイートにも、公党の代表としての責任感が滲むものだ。

 

 

防空識別圏で議論する政党として一石を投じた

 

本来であれば、安倍首相がそうした立場を鮮明にし、日本固を守ってみせると言う強い姿勢を示す必要があるはずだ。玉木代表が指摘するように現在の政府には十分な本気度を示してもらう必要があるだろう。

 

もちろんADIZを変更するにはアメリカとの協議も必要であるし、防空体制の変更となれば周辺国との軍事力的な誤った接触を誘発する恐れも否定できない。韓国側の竹島上陸という一面だけを切り取り、ADIZの変更を決めるのは早計という見方もできる。

 

しかし、では外交問題に対してどのように対処し、国民全体の利益を守っていくのかという国会議員としての責任の果たし方としては、単に政権批判をするいわゆる“従来の野党”のような振る舞いに共感できない国民は多いはずだ。

 

度重なる暴挙にも冷静に対処することが重要であるのは当然のこと。一刻も早い領土問題の解決に向けて力を尽くしてもらいたい。