安倍総理の年頭所感
新年にあたって、各組織のトップは何かしらの決意表明を行う。代表的なのは内閣総理大臣によるもので、今年も安倍総理が1月1日に年頭所感を発表している。
この後の1月4日に、安倍総理は伊勢神宮に参拝し、記者会見も行っている。
それぞれ、現状の把握から今年一年の目標や予定を述べるという形式は一致している。今年はG20サミットが日本で開催されるとあって、年頭所感と記者会見のいずれにおいても安倍総理が言及している。その他、皇位継承についてもいずれの機会でも語っているが、国内での具体的な政策について多くは語らずに、方向感のみ示すに留まっている。
具体的な政策を毎年語っているわけではなく、今年が特別というわけではないが、全般的に「安全運転」という印象の強い年頭所感と記者会見であった。
なお、安倍総理は自民党総裁としての挨拶も行っている。それは自民党のWebサイトに掲載されているが、内容は官邸のWebサイトに掲載されている総理としての年頭所感と変わるところがない。
ことある事に総理の立場と自民党総裁の立場を使い分けようとする安倍総理だが、年頭の挨拶では、その都合の良い使い分けをしていないようだ。
公明党の山口代表は?
自民党と連立を組む公明党。山口代表による新年の決意表明は、どれがそれにあたるのは判断が難しい。
公明党のWebサイトには、1月1日付の公明新聞に掲載された井上幹事長の新春抱負が掲載されている。
山口代表自身は、1月2日に街頭演説を行っている。
さらに、4日は党の職員らに向けに挨拶を行ったとも伝えられている。
それぞれマスコミには公表しているが、山口代表が広く国民に向けて発信する様子は見られない。支持層向けに決意を表明したというのが実態だろう。
立憲民主党の枝野代表の場合
立憲民主党の枝野代表は1月1日付で「新年のご挨拶」を同党のWebサイトにアップしている。
この挨拶では、立憲民主党の現状から昨年の国会の振り返り、そして、今年の統一地方選挙と参議院選挙への決意を述べるという構成になっている。
その後、枝野代表は1月4日に年頭の記者会見を行っている。こちらでは、野党での連携などにも言及している。
国民民主党の玉木代表の場合
国民民主党の玉木代表も1月1日付で「新年のご挨拶」を同党のWebサイトにアップしている。
玉木代表の場合、皇位継承に伴う新元号の話題から、二つの大きな選挙に言及した後に、国民民主党のキャッチフレーズを紹介するという構成をとっている。
その後、玉木代表も1月4日に年頭の記者会見を行っている。
その記者会見の内容は国民民主党のWebサイトに映像付きで公開されている。
安倍総理の年頭所感や記者会見については、官邸の広報担当が関わり、官邸のWebサイトでその全容が公開されているが、一方で公明党の山口代表や立憲民主党の枝野代表の場合、その全容は必ずしも明らかではないところ、玉木代表については同党のWebサイトで十分な情報提供を行っていることが特徴としてあげられるだろう。
その他の野党は?
その他の野党では、共産党が1月4日に実施した「党旗びらき」において、志位委員長が挨拶を行っており、その映像が公開されている。
また、日本維新の会は、片山共同代表の新年挨拶の映像が同党のWebサイト上で公開されている。
社民党は同党のWebサイトに又市代表の「新年メッセージ」を掲載している。ここまでに紹介したどの党のトップよりも具体的な政策に踏み込んだ内容のメッセージとなっているが、ここは同党の特徴が表れていて、安倍政権批判が前面に出ている。
新年挨拶の発信にあたって
ここまで、各党のトップの新年にあたっての挨拶について紹介してきた。
安倍総理については官邸の役人のサポートもあってか、そつなく情報発信を行っている様子がうかがえた。その他は、それぞれの党で対応が分かれていると言えそうだが、全容を伝えようとする姿勢で国民民主党の玉木代表が一歩抜きんでていたように思う。
挨拶の内容については、どこまで具体的な政策に踏み込むのかで差があった。この点については、安倍総理をはじめとして、挨拶では全体的な方向性を示し、その後の記者会見でもう少し具体的な政策に踏み込んでいく方法がとられているようだ。確かに、年頭所感や新年の挨拶で細に入り政策の中身を説明するというのは、少々焦点のずれたやり方だろう。この点では、枝野代表や玉木代表のように、挨拶ではその内容のポイントを絞るというのが適切だったように思う。
そもそも政治家の挨拶には関心を払ってもらいにくい状況で、どのようにメッセージを発信していくのか。今年は、政治家や党の手腕が問われる一年になるのではないだろうか。