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【参院選2019】昨年、過去最高の税収にも関わらず、消費税率を10%にあげる理由とは?

財務省が発表した2018年度の一般会計決算概要によると、国税収入は60兆3564億円となり、過去最高を記録。法人税は12兆3180億円、消費税が17兆6809億円でいずれも17年度を上回った。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019070200857&g=eco

 

国税収入は過去最高を記録しているにも関わらず、なぜ2019年10月に消費税率を8%から10%に引き上げる必要があるのだろうか。税収の内訳を詳しく見てみるとともに消費税率を10%にあげる理由を考える。

 

 

税収の内訳は?

◆一般会計税収推移(税収の内訳)

引用元:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a03.htm

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2019年予算を見ると税収の見込みは59.1兆円(内訳:所得税19.0兆、消費税は17.8兆、法人税12.2兆)。各税収の推移をみると所得税、法人税の税収は減少傾向にあり、消費税の税収は増加傾向にある。

 

消費税が増加するごとに法人税率が減少

◆消費税率と法人税率の推移(法人税の減少数値は丸めて表示)

引用元:https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm

消費税率と法人税率の推移

Twitter上では、れいわ新撰組・山本太郎氏が街頭での演説の中で、消費税と法人税の関係性を述べている投稿が5,000件以上拡散されている。

ではなぜ消費税を上げるのか

財務省の中で「なぜ、所得税や法人税ではなく、消費税の引き上げを行うのでしょうか」というFAQが公開されており、安定した税収を確保するために消費税が必要だと述べられている。

今後、少子高齢化により、現役世代が急なスピードで減っていく一方で、高齢者は増えていきます。社会保険料など、現役世代の負担が既に年々高まりつつある中で、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと考えられます。また、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少していますが、消費税は税収が経済動向に左右されにくく安定した税と言えます。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c01.htm

 

消費税増税の目的は安定した社会保障財源を確保するためだ。

内閣府の試算では「団塊の世代」が全て75歳以上の後期高齢者となる25年度には国の一般会計に占める社会保障関係費は41兆円に達し、財政を大きく圧迫する。国は近年、借金に当たる赤字国債を30兆円前後発行して財源不足を賄い、将来世代に負担を先送りし続けている。https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_zeisei20181015j-02-w370

 

2%の消費税率引き上げで見込まれる税収の使いみちは?

2%の消費税率引き上げで見込まれる税収増は約5.6兆円。消費税増収分の使い道としては、次の通りである。

2.8兆円:将来世代の負担軽減:(赤字国債の発行を抑制)

1.7兆円:少子化対策(幼児・高等教育無償化、保育士の増員)

1.1兆円:社会保障の充実(低所得の高齢者を支援)

 

参院選では社会保障財源の確保が消費増税により可能なのかを問うべきである

消費税率を10%に上げただけでは財源不足を十分に是正できない公算が大きい。借金が雪だるま式に膨らみ、返せなくなる事態を防ぐには、国民に痛みを伴う改革を問う政治的決意が問われるが、参院選ではあまり多く触れられていない。どのように安倍政権は財源を確保していくのだろうか。参院選ではこの点を追及すべきである。