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「桜を見る会」の招待者名簿は安倍総理が指示すれば「発見」か「再現」される

 

 

 

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「桜を見る会」は廃止しない

 

 12月3日に開かれた参議院本会議では、「桜を見る会」に関するやりとりが安倍総理と野党の質問者との間で繰り広げられた。と言っても、一問一答形式の委員会での質疑とは異なり、包括的に質問と答弁を行う本会議でのやりとりであり、特に安倍総理は原稿を読み上げるに留まる場面が過半を占めた。これを見ると、官僚に考えさせた弁明ともいえない弁明に終始するしかないほど、安倍総理の説明は破綻していることは明らかであった。

 

mainichi.jp

 

 

 いかに安倍総理の弁明が破綻しているのかは、その質疑の一端を紹介した各報道を見れば一目瞭然で、ここであらためて詳述する必要もないだろう。ただ一点、あまり注目されていないようだが、重要な答弁を安倍総理が行っていたので、ここで取り上げたい。
 それは、来年の「桜を見る会」の開催についてだ。
 日本維新の会の柴田巧議員は、その質問で「桜を見る会」の廃止について迫ったが、安倍総理は廃止の意向は「現段階ではない」と言い切った。

 

www.sankei.com

 

 

 そう、問題があるのは明らかであるにもかかわらず、いまだ今後の開催も検討しているというのだ。そして、安倍総理は、「招待基準やプロセスをしっかり再構築する」と答弁している。

 

 

「桜を見る会」の再構築にも必要な招待者名簿をなぜ復元しないのか

 

 さて、安倍総理自身が発した「招待基準やプロセスをしっかり再構築する」という言葉。一方で、招待基準やプロセスを明らかにする上でも大変重要な招待者名簿はシュレッダーにかけた挙句、情報システムに関する理解に乏しいことを露見するような不合理な理由をとってつけて、復元も不可能だと安倍総理は強弁している。
 この間の安倍総理や菅官房長官の弁明ともいえない弁明を信じて、招待者名簿の復元も技術的に不可能だとして、果たして招待基準やプロセスを再構築するといって、それはどのように行うのだろうか。

 

 少なくとも現段階で最後の開催となった本年度の「桜を見る会」の招待者が誰だか分からない。これでは、新しい招待基準を設けるなり、プロセスを再検討するなりの作業を行うこと自体が不可能に近いということではないだろうか。
 まずは、直近の開催で誰をどのように招待していたのか。これを確認する作業から始めなくてはならない。それをせずに招待基準やプロセスを考えても、結果として出来上がった新しい何かがこれまでと異なるのか否かさえ検証することが出来ず、結局これまで通りのやり方を踏襲しただけにもなりかねない。
 「招待基準やプロセスをしっかり再構築する」と安倍総理は言うのであれば、それとセットで、「廃棄してしまった招待者名簿は何としても復元せよ」とも表明しなければならないのだ。

 

 

本気なら、再現を指示してはどうか

 

 おそらく、官僚にこれ以上の負担をかけるのかという批判がなされる可能性もあるが、サーバーに残ったデータの復元すら出来ないというのであれば、この際、有能な官僚たちの手で招待者名簿を「再現」させてはどうだろうか。
 それはどういうことかと言えば、招待者名簿以外に残されている様々な情報を手掛かりに、もう一度招待者名簿を作り直させるのだ。本来は、廃棄してはならなかった情報であり、さらにはバックアップも取っておくべきであった情報だ。それが出来ていなかったのだから、その責任を負うという意味でも、この際どれだけの作業負担が新たに発生するのか分からないが、招待者名簿自体の再現を行ってもらえば良いのだ。

 

 

 これは、安倍総理が指示をすれば、直ぐにでも作業に着手できるものだ。技術的に不可能なので出来ないという理由は存在しない。やるかやらないか、ただそれだけである。
 もちろん、まったく同じものを再現することは不可能だろう。しかし、かなりの程度、原本となる廃棄された招待者名簿に近いものは再現できるはずだ。
 何故ならば、当日の映像はテレビ局などに残されている。招待者の中には、今は削除してしまったかもしれないが、SNSなどに当日の様子をアップしていた人も少なくない。国会議員の中には自身が行った推薦について記録を残している人もいるだろう。それら間接的な証拠を、官僚を総動員して収集させて、当日の参加者を一人一人確認していく。そうすることで、招待者名簿を再現すれば良いのだ。

 

 

 実際には、もし安倍総理が招待者名簿の再現を指示すれば、そんな作業負担を官僚は負いたくないはずなので、どこかに残された招待者名簿あるいはその一端を「発見された」と言って出してくることが予想される。
 いずれにしても、今度も形を変えるとしても「桜を見る会」を実施するというのであれば、廃棄されてしまった招待者名簿は何としても確保したい代物だ。安倍総理が「招待者名簿は重要だから、何としても発見しろ。なければ再現せよ」と指示をすれば、この問題は直ぐにでも解決される。

 

 

 既に臨時国会も最終盤を迎え、与党の中には、「桜を見る会」についての野党の追及から逃げ切ったという発言まで出ているようだ。

 

www.nishinippon.co.jp

 

 

しかし、その見立ては甘い。少なくとも、やるべきことをやってから、この国会を閉じてもらいたいものである。