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「桜を見る会」、直ぐに分かることを隠す官僚の病理

 

 

 

ようやく「60」番台は官邸・与党枠の推薦と認める

 

 12月23日、参議院内閣委員会の理事会が開かれた。
 その主たる目的は、安倍首相主催の「桜を見る会」を巡って野党が提出していた質問に対する政府側の回答を聴取することである。そこで、内閣府は今年の「桜を見る会」の一部の招待状に付されていた「60」の区分番号について回答を行った。それによると、担当者に聞き取った結果、「60」番台は「官邸や与党の枠だった」とのことであった。

 

this.kiji.is

 

 

 11月末の段階で、60・61・62・63番が総理・長官等の推薦者に関する区分番号とすることを示す内部文書が出回り、この文書が政府のものであることを、政府は認めていた。

 

www.asahi.com

 

 

 あらためて、「60」番台が官邸や与党の枠で推薦された人物への招待状に付された番号であることを内閣府が認めたかたちになる。

 

 

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確認に一か月も要することなのか

 

 内部文書とされる文書が出回り、それが政府のものであると認めたのが11月末。そして、今回正式に認めたのが12月23日。ほぼ一か月が経過したことになる。

 

 資料は廃棄したので正式なことは分からないと逃げ回ってきた政府。「桜を見る会」については毎年同じようなオペレーションを行ってきたはずで、「60」番を含め、どの番号が誰の推薦を表すかくらい、歴代の担当者を集めて確認すれば、そう時間もかからずに判明したはずだ。それこそ、その種の付番の方法など、これまでは特段の秘密でもなく、大きな変更などもしていないはず。当然、業務上で必要な情報として担当者間でも共有されていたと見るのが自然だろう。
 実際、過去の文書を国立公文書館で探索した共産党の宮本徹議員は、2005年の「桜を見る会」の文書を発見し、そこで今回と同様の付番がなされていたことを確認している。

 

 

 

 にもかかわらず、あらためて問題化すると、その確認とやらに一か月もかかってしまうというのは、どういう了見なのだろうか。
 これこそ、疑惑の追及をかわすために、サボタージュをしていたとしか思えない。あるいは、お決まりの安倍総理ら政権中枢への官僚による忖度だろうか。

 

 

もはや政権と一体となった疑惑隠しだ

 

 おそらく、付番の件を今後も追及すれば、「毎年、付番の方法は変えている」とでも言って内閣府は逃げおおせようとするのだろう。
 何と言っても、この付番の件について野党議員から質問主意書が提出された際に、その回答で、次のように平然と書いてきた人たちだ。

 

 「「招待区分」および「区分番号等」の意味するところが必ずしも明らかではないが」

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b200166.pdf/$File/b200166.pdf

 

 

 安倍政権のためなら、「知らぬ」、「存ぜぬ」、「指摘は当たらない」、「そのような事実はない」、「質問の意図が分からない」と、今後も繰り返してくるのだろう。
 そうでもしなければ、官僚としても自らの立場を悪くしてしまうといったところだろうか。いずれにしても、「桜を見る会」の疑惑でも顕著となったように、官僚組織における劣化なり腐敗なりも相当なものだ。

 

 政権と一体となって疑惑隠しに走る。行き着く先には、森友学園問題の際のように、公文書改竄にすら手を染める官僚たち。安倍政権の隠蔽体質には辟易するが、合わせて官僚組織において巣くう病理にも暗澹たる気持ちになる。
 果たして、官僚としての矜持はどこへいったのだろか。