霞が関から見た永田町

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守旧派の立憲民主党、改革派の国民民主党、臨時国会のみどころ

 

 

 

10月24日、第197回臨時国会が開会した。「もう」というべきか、「まだ」というべきか。民進党が空中分解し、希望の党、立憲民主党に分かれて戦った衆議院選挙がちょうど一年前だ。直前の都議会議員選挙の余勢をかって、小池旋風そのままに希望の党を立ち上げ、衆議院解散の日、民進党は両院議員総会を開催し、希望の党への合流を決めた。

 

 

政権交代前夜の空気さえ漂った一年前

 

不思議なことに、あの日、永田町では野党は「政権交代」の熱を帯びていた。事実、自民党の事前調査では東京都のすべての小選挙区で自民党が負けるという衝撃的なデータもあったほど、小池人気は凄かった。

 

政治の世界の怖いところは、こうした熱もちょっとした言葉のあや、表情などで一気に冷めてしまうところだ。冷めた時の逆回転は熱が高ければ高いほど、大きくなるのは一年前の希望の党が示した通りだ。旧社会党系の、リベラル色が強過ぎる議員については希望の党への入党を認めないという方針を定め、その一挙手一投足を追いかけていたカメラの前で、「えぇ、排除します」と小池代表(当時)が笑顔で答えたところから、歯車は大きく狂い出した。

 

排除された側の代表、枝野幸男氏が立ち上げた立憲民主党は国民の判官贔屓も手伝って、あれよあれよというまに支持率を伸ばし、衆議院選挙で躍進を果たした。

 

 

なんでも反対の姿勢で支持率は漸減した立憲民主党


あれから一年。一時期は10%を大きく超える政党支持率をほこった立憲民主党も気付けば、政党支持率は5%程度と低空飛行。国民民主党にいたっては1%と見る影もない。

 

さて、臨時国会も始まり、安倍首相が押し進めたいであろう、憲法改正など、野党がこの国会にどう臨むのかは注目だ。立憲民主党がこの一年で政党支持率を大きく下げてしまったのは、やはり「なんでも反対」の姿勢が有権者にウケなかったから、だろう。

 

そういえば、最近、玉木代表の話を聞く機会があった。そこで彼はこう言っていた。「与党、野党を分類する軸は2つある。1つは旧来から言われている、保守とリベラル。右か左か、といった方が分かりやすい。もう1つの軸は、改革するか、現状を何としても守ろうとする守旧か」。

 

 

中道ど真ん中、改革派のポジションがぽっかり空いた日本の政界

 

玉木代表の言葉を借りれば、安倍政権が20代、30代を中心に若い世代にウケているのは、この2つ目の軸、改革の姿勢を常に持ち続けているからだという。確かにその通りかもしれない。

 

逆にいえば、立憲民主党も社民党も共産党も、2つ目の軸でいえば、守旧派サイドにガチッと張り付いた政党だ。だから「反対はいいけど、じゃぁ、現状をどうやって改善するの?」という国民の素朴な疑問には応えていない。安倍政権がいいとは思わないけど、「ほかに選択肢がない」という理由で選ばれ続けているのは、こうした背景があるからだ。

 

とはいえ、安倍政権は1つ目の軸でいえば、保守、それも相当に右に振った立ち位置にいる。従来の右か左かでいえば、真ん中がちょうどぽっかり空いた状態だ。この中道ど真ん中で、かつ改革派というポジションこそ、国民民主党が狙うべきポジションだろう。かつて、みんなの党が取っていたポジションでもある。

 

 

国民民主党は雪だるまを作れるか?

 

果たして玉木代表率いるが、この中道ど真ん中、改革派というポジションにしっかりと座れるか、そして、そのイメージを国会論戦を通じて国民に浸透させられるか。まさにその手腕が問われている。

 

永田町はとかく、テレビの視聴率を気にしがちだ。本コラムで何度も書いてきたように、ここは堪えどころなのだ。雪だるまは最初の小さなかたまりを作る作業こそがつらい。かたまりささえ出来てしまえば、あとは転がして、まさに雪だるま式に増えていく。

 

今は政党支持率の低い国民民主党が、ここからどう展開していくのか、期待して見守りたい。