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沖縄県民投票 辺野古埋め立てへの県民の民意は明確に示された

 

 

 

70%を超えた反対票

 

 沖縄県名護市辺野古沖の埋め立ての賛否を問う県民投票は24日に投票が行われた。投票率は直近の国政選挙とも同水準の約52.5%。その結果、反対は約43万票、賛成約11万票、どちらでもないが約5万票となった。反対票は有効得票数の70%を超え、その数は玉城知事が選挙時に獲得した票数も超えた。
 投票実施に関わる条例で、有権者の4分の1を超える得票数があった場合、その結果を沖縄県知事は尊重し、その結果を総理大臣とアメリカ大統領に通知することになっていた。よって、玉城デニー知事は総理大臣とアメリカ大統領に結果を通知することになる。

 

 この県民投票の結果は日本政府の判断を縛る法的拘束力は持たない。このことをもって、「県民投票はただのアンケート調査であるから、無視しても構わない」とする意見も、安倍政権を支持する層からは聞こえてきそうだが、辺野古沖の埋め立てについては、明確に沖縄県民の民意が表明されたわけで、少なくとも日本政府はその意見を尊重する必要があろう。
 何より、県民投票はただのアンケート調査ではなく、沖縄県議会が制定した条例で根拠付けられている。それを無意味なものとするような言動は、民主主義を破壊する行為であり、慎むべきだ。

 

 現政権は、この県民投票の結果も無視しようとしている。
 これに対しては、国民民主党の大塚耕平沖縄協議会座長が出した声明の中の以下の一文が明快である。

 

www.dpfp.or.jp

 

 

 「沖縄では過去2回の知事選において、基地建設に反対する候補が当選している。その上で、今回の県民投票の結果を軽視するようであれば、日本政府のそうした対応は、基地建設問題を超えて、民主主義そのものに対する姿勢の問題となる。日本政府には重ねて、今回の投票結果を真摯に受け止め、埋め立て工事をただちに中止することを求める。」

 

 

無理な理屈で沖縄県民の民意を愚弄するな

 

 悩ましいのは、今回示された沖縄県民の民意を民意とは認めない人物がマスコミを中心に存在することだ。
 その代表的な一人がフジテレビ解説委員の平井文夫氏だ。
 以前から安倍政権を擁護する言動を繰り返している平井氏なので、今回の県民投票の結果はさぞや残念だったようだが、凄い理屈を繰り出している。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

 要約すると、こうだ。
 投票したのは有権者の50%程度。その70%が反対なのであって、それは有権者の70%ではない、だから反対が多いというのはフェイクニュースだと。
 加えて、投票しなかった約50%の有権者と賛成を投じた約12%を合わせて、約62%が積極的には反対していないというのだ。

 

 県民投票と国政選挙の投票は別だと言いたいようだが、衆議院議員選挙の投票率は約50%で、その中で50%を切る得票率で自民党は70%の議席を得て、政権を取っている。

 

www.jiji.com

 

 

 全有権者を母数にする絶対得票率で自民党は約25%程度。平井氏の理屈で言えば、残りの約75%は積極的に自民党を支持しているわけではないということになる。
 沖縄県の民意は別であるというのであれば、現在の安倍政権も国民の民意には従っていないと言わなければ矛盾している。
 国民の民意を反映していない安倍政権が辺野古新基地建設を進めようとしていることにつき、平井氏は賛成するということなのだろうか。

 

 県民投票と国政選挙の投票率は同水準であり、その中で反対票が70%を超えた。その厳然たる事実は極めて重く、それを否定するのは無理筋だ。投票を通じて明確な意思表示をした有権者の70%以上が反対である。この結果が全てであり、投票しなかった有権者の意見を勝手に想像して「捏造」してはならない。

 

 

沖縄県民の民意は明確である

 

 今回の県民投票は、沖縄県の全市町村で、圧倒的に反対票が多かった。

 

 

 

 沖縄県民の明確な意思表示があった。そう受け止めて、日本政府は対応する必要があろう。
 辺野古沖の埋め立てを進めざるを得ないという結論しかないのだとしたら、その旨を反対の多い沖縄県民に対して丁寧に説き、あらためて理解を得る努力を重ねるしかないはずだ。
県民投票の明確な結果が出た今、拙速な辺野古新基地建設は慎むべきではないだろうか。