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「国民民主党は解散すべき」立憲民主党・菅直人氏トンデモ発言

 

 

 

「国民民主党は政治理念が不明確なので解散し、参院選までに個々の議員の判断で立憲との再結集に参加するのが望ましい」。平成最後の統一地方選挙前半戦、全国の道府県議、政令指定都市市議の投開票日の翌日、こんなツイートを発信したのは、立憲民主党の菅直人氏。

 

 

目くそ鼻くその立憲民主党

 

井の中の蛙というか、小さなコップの中の勢力争いというか、自民党から見れば、ともに政党支持率は10%に満たない政党間の、いや、立憲民主党サイドから国民民主党への一方的な当てこすり。こんなことを繰り返しているからこそ、いつまでも有権者の、野党への信頼は取り戻せないままであることが立憲民主党には分からないようだ。

 

今回の事件は国民民主党にとっては、もらい事故のようなものだが、果たして本当に「ビジョンがないのか」、検証してみよう。

 

国民民主党のウェブサイトを見てみよう。党基本情報に、「つくろう、新しい答え。」のメッセージとともに、玉木代表の挨拶が載っている。全文をここに載せるのは少し量が多いが、党を率いる代表として、自民党では実現できない多様性に目配りをした、中道保守政党を目指していることが伝わってくる。党の綱領にはこの辺がさらに明確に記載されていて、そこには次のように書かれている。「私たちは、「自由」「共生」「未来への責任」を基本理念とします。「公正・公平・透明なルールのもと、多様な価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会」「誰もが排除されることなく、互いに認めあえる共生社会」「未来を生きる次世代への責任を果たす社会」を理想とします。この理念の下、穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の改革中道政党を創ります」。そこにビジョンとは書かれていないものの、国民民主党が目指す方向性ははっきりと出ていると言っていいだろう。

 

 

今からビジョンをつくるという立憲民主党

 

曲がりなりにも一国のトップまで務めた人物が空気に頼った発言で「国民民主党はビジョンがない」と言い切る、その姿勢こそ非常に危ういといえよう。

 

一方で、その立憲民主党はどうか、というと、これが申し訳ないが大変なお笑い草の状況なのである。2019年の参議院選挙に向けて、ボトムアップでビジョンを作っていくことを高らかに宣言し、まさに今、国会議員間での討議や有権者との意見交換を始めようとしている。つまり、彼らは「今はビジョンがない」ことを自ら認めた活動を展開しているのである。

 

企業でも政党でも通常はビジョンが先にある。この国を、この社会を自分たちのサービスで、自分たちの政策で、こんな風に作っていきたい。それがビジョンや理念と言われるものだ。少なくとも立憲民主党はそのビジョンがないから、参議院選挙に向けて作っていくのだという。それもボトムアップで。

 

 

国民民主党は党の持つ明るさを信じて前へ進め

 

ビジョンがないのに、一体何を求心力に立憲民主党に議員は集っていたのだろうか。彼らは言葉にこそしないが、腹の底に通底するのは「希望の党結党時の恨み」がある。だから野党の間で足を引っ張り合ってしまうのだ。その点、国民民主党にはそういった暗さはまったく、ない。玉木代表をはじめ、政策には明るさがあるが、それが有権者には訴求し切れず、政党支持率は低空飛行を続けたままだ。非常に痛し痒し、だ。明るさを持つ国民民主党が、せめて立憲民主党並みの政党支持率があれば、国会の風景も変わってくるだろう。

 

さて、本件は大きくは報道されていないが、その後、立憲民主党の枝野代表は菅直人元首相に対して厳重注意をした上で、国民民主党の玉木代表に謝罪している。