霞が関から見た永田町

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自民党の鳩山議員の責任とは

 

 

 

鳩山議員の秘書が辞任

 

自民党の鳩山二郎衆議院議員の小沢洋介秘書が国税庁幹部を議員会館の部屋に呼び出して説明を求めていたことが明るみに出て、小沢氏が秘書を辞任する事態となった。

 

報道によると、小沢氏が当時顧問を務めていた宝石販売会社「国際東日ジュエリー」から仕入れた宝石を外国人観光客に販売したとして、免税店運営会社4社が消費税約2億2千万円の還付を申告したところ、東京国税局が還付を保留したため、小沢氏が国税局に説明を求めたということである。国税庁から消費税室長らが議員会館へ赴き、その説明の場には、鳩山議員も同席したという。

 

税務調査の結果、東京国税局は還付の根拠となるような取引の実態はなかったと認定して、重加算税など約3億円を追徴課税したとも伝えられている。これに対しては、4社は処分を不服として国税不服審判所に審査請求しているとも伝えられており、その審査結果を待つ必要があるが、東京国税局の調査のとおりだとすると、大変重い不正が行われていたことになる。

 

小沢氏は、圧力をかけたつもりはなく、単に消費税の還付について説明を受けただけであると答えている。鳩山議員も説明に同席しただけで、それ以上の意図はない旨の回答をしている。

 

 

支援者からは様々な要望がある

 

国会議員のもとには、支持者をはじめとして様々なところから要望が寄せられる。その中でも、この鳩山氏の秘書の小沢氏が行ったような国や自治体への問い合わせの依頼は数多いはずだ。「申請が通らないのだが、担当者に詳細を尋ねて欲しい」といった要望がそれだ。地元の支援者であれば、「自治体の対応に納得がいかないので、国にかけあって何とかして欲しい」という要望を国会議員に持ち込むこともある。

 

そのような要望を直接議員が受けるのか、秘書など事務所関係者が受けるのかはその都度で変わるだろうが、実際に国や自治体との連絡を取るのは主に秘書の仕事である。

 

秘書は各担当者に直接連絡するか、あるいは、中央省庁であれば国会内に各省庁の職員が待機する国会連絡室があるので、そこに連絡をして調整を依頼する。今回、小林秘書は国会連絡室に連絡したようである。

 

連絡を受けた国や自治体の担当者がどう感じるのかは様々だが、強く言い過ぎれば、直ぐに「圧力をかけられた」となるので、通常は国会議員側も慎重に問い合わせをする。まず、「このような話が来ているのだが、詳細を教えて欲しい」と伝え、国や自治体の担当者は返答出来る範囲内で丁寧に返答をする。そして、その返答を問い合わせのあった支援者などに議員や秘書が伝える。このような一連の流れは、日々、国会議員の周辺で行われていることである。

 

やりとりは電話や文書で済むこともあれば、場合によっては、今回の小沢氏のやり方のように、担当者を議員会館の部屋に呼び、詳しい説明や質疑を依頼することもある。この場合、議員が同席することもあれば、秘書のみの対応ということもある。このあたりは、ある程度、臨機応変に議員側は対応しているはずだ。

 

以上のようなことは、通常は大きく問題になることもなく、おそらく今回の小沢氏の国税庁への依頼や鳩山議員の同席も通常の業務の一環程度の認識で行われたはずだ。

国税庁は「個別、具体的なことは言えない」と答えたと報じられており、消費税の還付に関する制度の概要を伝えて帰ったことが容易に想像される。

しかし、今回は問題になり、小沢氏は秘書を辞任することで決着を図ろうとされている。

 

 

この件の問題点

 

問題点は大きく二つある。

第一は、秘書である小沢氏が顧問を務める宝石販売会社と取引関係のある会社の求めに応じて、税務に関する問い合わせを国税庁に対して行ったことだ。

国会議員の事務所から問い合わせがあれば、国や自治体の担当者は必ず応答をする。もちろん、議員側の全ての要望が受け入れられるわけではないが、何らかの回答は必ず得られる。そのような問い合わせを自らのために行ったとすると、それは公私混同も甚だしい。

 

今回は事が税務に関わることであり、国会議員やその関係者が税務上で得をするようなことはあってはならない。国会議員に呼ばれたからと言って、国税庁の職員が節税方法を教示したり、還付に関する判断を変更したりすることはないとは思うが、そう国民から疑われてしまうようなことは厳に慎むべきである。

 

第二は、小沢氏が顧問を務める会社が架空の取引をしていた可能性があり、なおかつ、それに基づき税の還付を受けようとしていたということで、違法な行為に小沢氏も加担してしまっていた可能性があることだ。現在、不服の審査請求を行っているということで予断は許されないが、税務調査では取引が存在しないと判断されているという事実は重い。

 

架空の取引により税の還付を受けようとしたとすると、それは国からお金を騙し取ろうとしたことを意味する。それに加担していたとなれば、秘書を辞任する程度でことが済まない可能性がある。そして、事の概要をきちんと把握していなかったのかもしれないが、鳩山議員も説明の場にも同席したとすると、不正に間接的に加担してしまった可能性もある。

 

 

鳩山議員の責任

 

 この件につき、直ちに鳩山議員の責任が厳しく問われるような事態には発展しないと思われるが、そうかと言って、鳩山議員にまったく責任がないというわけではない。秘書の公私混同を見過ごし、さらには国税庁の説明の場に同席したというのは、軽率であると言わざるを得ない。特に、秘書の監督責任が問われるところだ。

 

また、日常的にこのような「筋の悪い」要望を扱うことを議員として了承していたとすると、この件はあくまで氷山の一角であって、法律に触れるような要請を省庁や自治体に対して行ってしまっていた可能性もある。様々な要望が日々寄せられる中で、取り上げるべきものとそうではないものの選別を的確に行う必要がある。時に支援者の機嫌を損ねるようなことになるとしても、法律に抵触するような事柄に関係することについては、きちんと説明をして、「お引き取り頂く」ことが肝要である。