霞が関から見た永田町

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議員年金の復活は国民年金の不備を証明することになる 税金で議員の老後を充実させるのか?

 

 

 

またもや浮上した議員年金の復活

昨年の今頃、議員年金の復活が話題になった。

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その時は、結局見送られたが、また復活へ向けた動きがあるようだ。

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 ここで、議員になると年金がなくなってしまうかのような誤解を招く議論がされがちだが、そもそも議員も国民年金には加入するので、議員だから年金がまったくなくなるというわけではない。ここは確認しておく必要がある。

議員年金がなくなった現状で、国民年金だけになったときに将来に不安があるから議員年金を復活させようというのであれば、その主張はつまるところ「国民年金では老後に不安がある」ということと同趣旨である。はたして、議員年金の復活を主張する主に現職の議員たちはそのことを理解しているのだろうか。

 

 

地方議員の雇用主は地方自治体?

 先に紹介した記事では、議員年金の復活を主張する自民党の国会議員の声が引用されているが、議員年金の復活を主張しているのは彼らだけではない。

 都道府県議会議長会、全国市議会議長会、町村議会議長会が国に対して要望活動を展開している。多くの地方議会で自民党や公明党の議員が議席の多くを占めている以上、それら議長会もそれらの政党の議員の主張に寄るはずで、国政の自民党と公明党と地方の動きがここでは連動していると見るべきであろう。

彼らが主張しているのが、地方議員の厚生年金への加入である。この議員の厚生年金への加入が議員年金の復活の具体的な方法として現在検討されている。

 

 議員が厚生年金に加入するとなれば、雇用者を誰とするのかが問題となる。現在検討されているのは、地方議員については地方自治体を雇用主とするというやり方である。

 その場合、保険料は地方議員と地方自治体が半分ずつ負担することになる。地方自治体が半分負担するということは、つまり税金で地方議員の保険料を支払うということだ。

 

 議員年金の復活というとき、財源のことには触れないようにしているようだ。だが、実態としては税金が投入されることは不可避で、当然それは国民の負担というかたちをとることになる。何か新しい取り組みを行う以上、それを担保する財源が必要であり、その財源は基本的には新たな税金の創設か増税というかたちをとるしかない。

国民に追加の負担をお願いして、自らの老後の資金面での不安をなくしたい。議員年金の復活を叫ぶ議員たちの主張はそう要約することが出来るが、その財源のことを考えたときに、そう簡単に国民としては認めるわけにはいかないのではないだろうか。

 

 

税金で議員の老後を充実させるのか?

 議員年金の復活とは、つまり、議員の厚生年金への加入であり、その保険料を税金で賄うということを意味している。議員年金の復活を主張する議員は自らの老後の生活を充実させるために税金を投入しよう、そう言っているのである。

 何とも自分たちだけに都合の良い主張だが、このまま自公政権が続けば、そう遠くないうちに、地方議員の年金は事実上の復活となるだろう。

思い出して欲しい。安倍総理が「民主政権時代は悪夢であった」と言ったことを。

 この地方議員の議員年金を廃止したのは民主党政権のときである。そう、自民党の議員にとっては議員年金の廃止は悪夢であったのである。自公政権になったのだから、議員年金を復活させたい。そう目論んでいるのだ。

 選挙で現在の与党に簡単に勝たせると、こういう国民にとって不都合なことを進めても選挙で負けないとなって、どんどん自らに都合の良いことを進めようとすることになる。間近に参議院議員選挙の投票日が迫っているが、選挙後に与党が実際に何を進めようとしているのかも見定めて投票をする必要があると言えるだろう。