霞が関から見た永田町

霞が関と永田町に関係する情報を、霞が関の視点で収集して発信しています。

MENU

他山の石とすべき、立憲民主党の北海道断水のデマツイート

 

 

 

9月6日、北海道肝振地方を最大震度7の大地震が襲った。北海道での震度7は、震度階級の改定があった1996年以降初めて。

 

震度7の揺れを観測した北海道厚真町では大規模な土砂崩れが起き、山という山が尾根だけを残して、谷の部分はことどく土砂が崩れた衝撃的な映像も既に報道された通りだ。これまでに23人が死亡し、12人が心肺停止、5人の安否がわかっていない状況で、今なお必死の救命活動が展開されている。

 

 

f:id:araaaaan:20180910114914p:plain

 

 

大都市がブラックアウトに陥る怖さ

 

この地震で、北海道内最大の火力発電所である苫東厚真火力発電所が緊急停止、道内の他の5カ所の火力発電所も運転が止まり、北海道全域が停電に陥った。295万戸の電力が一斉に止まる、いわゆる「ブラックアウト」である。

 

この停電により、JR北海道や札幌市営地下鉄といった鉄道網はもちろんのこと、ビル、ホテル、空港などあらゆる社会インフラがストップし、大都市が電力を失う怖さをまさざまと見せつけた形となった。

 

 

お粗末な立憲民主党公式アカウントのツイート

 

今回のブラックアウトで、残念ながら永田町そのものがデマツイートの発信源になってしまった。立憲民主党である。9月6日の未明に地震が発生し、その約6時間後の、6日午前10時に立憲民主党の公式アカウントは次のツイートを発信した。「佐々木隆博事務所より情報提供です。石狩川浄水場の自家発電が故障してて、このまま午後まで停電するようなら、石狩川水系の家は断水になるかもしれません。永山、春光、末広、大町、まちなか等、市内の約7割が対象になるそうです」。

 

しかし、これは実際にはデマだった。そのわずか30分後に、旭川市役所の公式アカウントが「浄水場は通常どおり運転していますので、断水の心配はありません」とツイートしたのである。

 

今回の立憲民主党のツイートはお粗末以外、何者でもない。今回の一件から色々と学ぶべきことがありそうだ。

 

 

メディアリテラシーの基礎ができてないことが露呈

 

政党は言うまでもなく、社会の公器である。したがって、政党が発信する情報は非常に重いし、社会に影響を与えるものだ。いわんや、今回のような災害発生時において、なおさらのことである。情報発信のキホンのキと言ってもいい、一次ソースへの確認を怠っていたのは、今回の立憲民主党のツイートから明らかだ。

 

仮に一次ソースから情報を得て、つまり裏取りした情報だったとしても問題がある。そもそも、このツイートが被災地の人たちに対して、どんな意味があっただろうか。

 

被災地の人たちが知りたいことは、「断水そのもの」よりも「断水が起きたら、自分たちに何ができるのか」「自衛隊や行政からの給水支援はいつ頃から始まるのか」など、次のアクションに繋がる情報がほしかったはずだ。残念ながら、今回の立憲民主党のツイートは被災地に寄り添ったものではなかったし、それが白日の下にさらされてしまった格好となった。

 

 

政党がデマを発信してはならない

 

しかも、その後の対応も悪かった。翌日、謝罪ツイートをしたものの、前述の誤った情報に基づく、誤ったツイートを削除しているのである。

 

仮に誤った情報を発信してしまったとしても、謝罪した上で元のツイートは残す、というのがSNSでは基本だ。そうしたメディア・リテラシーを同党は有していないことも明らかになってしまった。

 

極め付けは、謝罪ツイートの「発信に細心の注意を払っていきます。一緒に気をつけていきましょう」という最後の一文だ。これでは、立憲民主党が何の反省もしていないと思われても仕方ないだろう。まったくの他人事だ。

 

立憲民主党の今回の一連の不手際を、永田町は他山の石としなくてはならない。今一度、メディアリテラシーと向き合ってほしいものだ。