霞が関から見た永田町

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少子高齢化社会の現状と今後の影響は?

 

 

 

 2020年、東京にオリンピックがやってくる。2020年は色々な意味で象徴的な年になるだろう。現状のままいくと、この年を境にいよいよ東京も人口減少社会へと突入する。エリア毎に見れば、江東区や江戸川区のように人口がしばらく増え続けるエリアはあるものの、東京都という括りで見れば、人口は減っていく。

 

 それだけではない、加えて世帯構成のあり方にも影響する。これはもう未来の話ではなく、現在進行形だ。30年前、日本の標準的な世帯といえば、夫婦に子供が2人だった。実際、国立社会保障・人口問題研究所の数字を見ても、1985年当時は全世帯に占める標準世帯の割合は40%を超えていた。ところが、現状その割合は25%を切っている。最大勢力は単身者で35%弱、夫婦のみが約20%だ。

 

 

20年後の60代と現在の60代が直面する社会は異なる

 

 この数字をもう少し、政治はリアルに捉えなければいけない。老後を一人で迎える、もっと踏み込んでいうと死を一人で迎える人が圧倒的多数となる社会がもう目の前にきているのだ。

 

 その当事者となるのが今の40代から下の世代だろう。今は高齢化社会とはいえ、60代、70代の人たちはいわゆる、夫婦に子供が2人が標準だった時代を生きてきた人たちだ。たしかに高齢者が増えているとはいえ、子供たちもいる。例外はあるだろうが、基本的には子供という家族がいる中で、老後を迎え、死を迎えるわけだ。

 

 ところが、今の40代がこれから20年が経過した時に迎える老後は様相が異なる。2015年の国勢調査の結果、50歳までに一度も結婚したことのない人の割合を示す「生涯未婚率」は男性で23%、女性で14%となっており、2010年調査と比べて急上昇したことが話題になった。

 

 この傾向は今後、拍車がかかるものと思われる。1970年代、1980年代の生涯未婚率は男性で4%、女性で2%だったことを考えると、この2015年の数字がいかにインパクトを持っているか、わかるだろう。兄弟、姉妹という存在はあるにしても、今の60代、70代の環境と、20年後に60代、70代になる人たちが直面する環境とでは、劇的に変わっているだろう。

 

 もちろん、今でも「おひとりさま」というキーワードで一人で迎える老後はテレビや雑誌などメディアでも話題になりつつある。ただ、いずれも「家族(子供)に迷惑をかけたくない」という意味で、家族の存在が意識されている。この前提そのものが、あと20年もすると崩れるわけだ。

 

 

政治家こそが社会のデザイナー

 

 政治の役割はセーフティネットだ。これから社会のあり様が大きく変わろうとしている中で、誰も経験したことない社会が目の前にやってくる。社会に出て、働き、国家に納税していた全良なる市民が老後を迎えた時に、全く想像もしていなかった社会を迎える。その時にうろたえ、寂しさを覚える人が多いのではないかと思う。

 

 日々の生活に意識がいきがちな有権者に20年先の社会を考える余裕はない。社会を広い視野で眺め、国民の安寧を考えられるのは政治家においてほかない。彼らが20年後に直面する寂しさをあらかじめ、見通せるのは政治家であり、そこに向けて社会をデザインできるのも政治家だ。

 

 残念ながら、今の政治がそういう社会を見据えて、政策をデザインしているようには見えない。目の前の問題に汲々としているようだ。20年後の社会を見据えた話は確かに有権者にはわかりにくいし、目の前の票には繋がらないかもしれない。

 

 今のように野党がだらしなく、積極的に自民党、なかんずく安倍政権がいいわけではないが、野党にも期待できないという有権者が多い状況を野党はもう少し客観的に受け止めるべきだ。確かにパンとサーカスではないが、目の前に票に繋がる政策も大事かもしれない。しかし、有権者は今、自分たちの未来に対して漠とした不安を抱いている。

 

 

社会の繋がりを再設計

 

 老後の問題は特にその象徴的なテーマだろう。その不安が顕在化するのは2020年のオリンピック後だ。その来るべき社会に向けて、コミュニティをどうデザインするか、どう形成するか。非常に重要なテーマだ。

 

 単身高齢者の問題は医療、防災にも大きく関わってくるし、なんといっても、数年来話題となっているコンパクトシティのあり方にも本腰を入れて取り組んでいかなければならないだろう。高齢者の老後問題は大きくは地方自治の問題に行き着く、社会の根幹に関わる問題なのである。

 

 だからこそ、野党に存在感を発揮してほしいところである。公共事業を中心に社会を設計してきた従来の政治のやり方では切り開けないのは明白だ。そして、さすがの自民党もそのことはよく分かっている。

 

 問題は分かっていても、なかなか従来の成功体験を変えられないという点にある。そこには多くのステークホルダーが存在するからだ。だからこそ野党にとってはチャンスだ。腰を据えて、未来のビジョンを打ち出してほしいし、単身高齢者が不安と寂しさを感じない社会をデザインしてほしい。