霞が関から見た永田町

霞が関と永田町に関係する情報を、霞が関の視点で収集して発信しています。

MENU

統一地方選挙を控え、最大の支持基盤「連合」はどこへ行く?

 

 

 

来年春に控えている統一地方選挙。各党、着々と候補者の擁立を進めているところだが、やはり、なんと言っても注目は連合だろう。

 

連合の正式名称は日本労働組合総連合会。その名の通り、全国の労働組合の中央組織で、社会党系の日本労働組合総評議会、通称「総評」と、民社党系の全日本労働総同盟、通称「同盟」、これに「産別」と呼ばれる全国産業別労働組合連合の大きく3つの流れがある。その数は700万人とされており、長らく民主党、民進党の最大にして、唯一の支持基盤だった。

 

 

元々内部はバラバラの連合


ところがご存知の通り、昨年の衆議院選挙で民進党は実質的に消滅し、立憲民主党へ行く者、希望の党へ行く者と対応が分かれ、この時の感情のしこりが大きく尾を引いている。それはある意味、民進党が分裂したことで、連合の、その成立時に起因する歪みがどうにもならない形で噴出したとも言える。

 

連合は総評と同盟、産別などが合流する際に基本政策のすり合わせをしないままに統一したために、日米安保反対、君が代反対、脱原発の総評系と、反共を掲げ、日米安保も君が代も原発も賛成の同盟は水と油だった。それでも民主党、民進党という一つの受け皿があったからこそ、そうした路線の違いを飲み込んで対応していた連合だが、去年の衆議院選挙を経て、総評系は立憲民主党へ、同盟系は国民民主党へと分裂した。

 

 

衆議院議員と地方議員の近親憎悪


表向き、連合としては両党と付き合う姿勢を見せているが、連合としての形を維持できるのは来年の春まで、だろう。それはなぜかといえば、冒頭述べた統一地方選挙があるからだ。小選挙区制を採用する衆議院選挙と異なり、統一地方選挙は大選挙区制、中選挙区制だ。特に国会議員が最も戦力として期待する都道府県議、政令市議は定数が少ない選挙では定員2、多くても10程度の定数の中で戦う中選挙区制である。

 

そのため、来年春の選挙では旧民進党の議員が敵と味方に分かれて戦おうことになる。両者が現役であれば、これまでも同一選挙区内で棲み分けてきたため、大きなしこりにはならないかもしれないが、問題は新人が出てくる選挙区はしこりが残る。

 

 

骨肉の争いが繰り広げられる神奈川県


実はそうした問題が如実に表れているが神奈川県だ。神奈川県は少し不思議なエリアで、旧民主党の国会議員団はそのほとんどがみんなの党出身者だった。昨年の民進党分裂の際に、これも不思議なことに本来、政策的には水と油のはずだった立憲民主党へと流れた。現場を支える地方議員が同盟系が多い衆議院議員が立憲民主党へ行ったケースは来年の統一地方選挙はなかなか大変だろう。同盟系の、現職地方議員は国民民主党からの立候補を模索する。一方で自分の手足となる地方議員がほしい立憲民主党の国家議員は自前で候補者を擁立することになる。


もともと、みんなの党出身の国会議員であることも手伝って、こういう事態になれば、現職の地方議員からすれば、国会議員憎しになるのは、ある意味、必然の流れだ。地盤もない中で、これまで数度にわたる国政選挙を支えてきたのは自分たちだという思いは強い。せめて統一地方選挙で自分を脅かすことはしてくれるな、というのは人間の自然な感情だろう。

 

 

統一地方選挙後に連合は解消、原点回帰か


こうした例は枚挙にいとまがない。旧民主党内でも、国会議員と地方議員の間で骨肉の争いが起きている選挙区もある。こうした様子を見ていると、とてもじゃないが、統一地方選挙後に手を握り合って元の鞘に収まる、なんていうことは無理だろう。

 

こうして現場レベルで連合はまた裂き状態なのである。目の前の政権交代が遠ざかった今、連合もまた、総評系と同盟系に分かれて、新社会党としての立憲民主党と、新民社党としての国民民主党をそれぞれ支えていくということになるのではないだろうか。