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新型コロナで進む社会のアップデートに国会議員は気付いているか?

新型コロナウイルス感染症が日々、拡大する中で、厚生労働省や国土交通省をはじめとする中央省庁の業務負荷は医療従事者同様、厳しくなっている。この状況は地方自治体も同様だろう。

政府の緊急事態宣言を受けて、街から人が消えつつあり、完璧とはいえないまでも、その効果は現れつつある。この宣言が奏功して2週間後には感染者数が落ち着いていることを願うばかりだ。

 

 

今問われる政治家の嗅覚

新型コロナウイルス感染症によって、社会は今、明らかにアップデートしつつある。その社会の変化は後述するとして、今、一つ危惧するのは、この社会の変化を政治家はどこまで肌感覚として有しているだろうか、ということである。

あまり悪口は書きたくないし、彼女が国会議員の代表かといえば、そうは思わないものの、一応、立憲民主党の副代表でもあるから、無視はできない。例えば、彼女は布マスクの配布費用の内訳について、「菅官房長官は1枚200円と言っていたが、1枚260円」と鬼の首を取ったようなtweetを発信している。

「今問題にすべきはそこではない」というのが国民の偽らざる思いだろう。もちろん、布マスクの件は様々意見はある。予算の配分として、適切かといえば、問題があるのも事実だろう。

批判しかできない政治家は要らない

そんなことは政府もよく分かっているはずだ。それよりもトイレットペーパーを買うために長蛇の列をなし、マスク不足を心配してドラッグストアに早朝から多くの人が並ぶ、その背景には終焉が見えない新型コロナに対する漠とした不安の裏返しに他ならない。その不安を少しでも和らげるための対策の一つが布マスクであり、それに一々、ケチをつけている場合ではない。

むしろ、今野党がやるべきは、政府与党からは出てこない案、アイデアをどんどんと提案していくことだろう。コンサル的にいえば、MECEを野党がやればいい。それだけでも野党の価値が出る。

さて、問題は社会が今回の新型コロナを契機にアップデートをしつつある、そういう質的変化を国会議員が肌で感じているか、ということだ。変化を感じていたら、例を挙げるまでもなく、「布マスクは200円ではなく260円」という発信にはならないはずだ。

もう元の社会には戻れないし、戻らない

緊急事態宣言で山手線の乗車率は思うほど減っていないという報道がある一方で、35%も減ったという見方もできる。この35%の減少の裏で何が起きているのかと言えば、オンライン会議への慣れ、が始まっている。

Zoomをはじめとして、meetやTEAMS、Webexなど様々なツールを日々、トライ&エラーで使いこなしながら、 10人の会議、100人のセミナー、それぞれ、どう運用するとコミュニケーションが潤滑に行くのか、企業は試行錯誤を繰り返している。

その中で巷間言われるのが「会議はオンラインで全然いいよね」ということだ。もちろん、これは一例に過ぎないが、結局、何が起きているかと言えば、業務の因数分解とそれによるオンラインとオフラインの切り分けが始まっている。これが意味するところは、アフターコロナにおける働き方の変化だ。それは脱東京の始まりかもしれない。

ビジネスセクターから情報を集めよ

今回の未曾有の感染症によって、「何が大事か」を社会は急速に学び始めている。そしてテクノロジーを使って何ができて、今自分たちが直面している不安をどう解決できるかを学び始めている。これは社会に本質的な変化をもたらす。

シルバー民主主義と揶揄されるように、多くの国会議員は日々接するのは地元の高齢者だ。ここと接していても、今、社会で起きている質的変化には気づけないだろう。

どれだけビジネスの現場の声を国会議員が聞いているか。それが今後、政党の帰趨を左右する。現時点では自民党に最もその声が届いているように感じる。

自民党の反転攻勢が始まる

今は目の前の問題への対応に汲々としているし、政府与党である以上、そうなるのが自然なことだが、アフターコロナにおいて自民党は社会のアップデートを正しく把握した上で、政策を打ち出してくるに違いない。その時に野党は対案を示せるのだろうか。ひっそりと、それでいて確実にアップデートを始めている社会の足音に敏感な政治家にこそ、未来を託したい。