霞が関から見た永田町

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ポジティブな提案を発信し続ける玉木代表とネガティブな情報を発信し続ける枝野代表

中国・武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症。今から1ヶ月前がどんな状況だったか、思い出すのが難しいほど、日々刻々と情勢が変化している。緊急事態宣言も発出され、道半ばとはいえ、街から人が減っている様は一目瞭然だ。
 

霞ヶ関から見た永田町という本メディア。霞ヶ関の住人としては、国家の存亡がかかっているともいえる、緊急時こそ政治に携わる方々の本質が如実に現れていると思っている。そんな視点で、立憲民主党と国民民主党の両代表のtwitterでの発信を興味深く眺めている。

発言がネガティブに終始する立憲民主党

端的にいうと、政府批判に終始している立憲民主党の枝野代表と、政府の対応についてポジティブな形で対案を示している玉木代表といったところか。

少し、twitterの投稿を見てみよう。まずは枝野代表から。
 

「30万円給付の問題点に関する具体的説明です」「2週間で感染減少に向かわせることができるという総理発言と休業要請は2週間後という報道と矛盾と問題点について(youtubeで)話しています」。

一方の玉木代表はこのような感じだ。
「国民民主党の緊急経済対策を正式に決定し発表しました。
(1)10兆円の給付、(2)10兆円の減収補償、(3)10兆円の家計減税、の3本柱からなる総額30兆円の対策です。GDPを5.5%下支えする効果が期待できます。米国の経済対策とも連動し、世界同時不況と株安を防ぎます。他党にも働きかけ、政府に申し入れます」、「国は企業の休業手当の支払い義務を曖昧のままにしておくべきではない。義務が免除されるならその要件を明確に示すべきだし、義務があるなら企業が支払いやすい支援策を拡充すべきだ。企業が平均賃金の80%以上の休業手当を支払った場合には雇用調整助成金の助成率を1005にする政策を提案したい」、「政府でも市場原理でもない第3の調整システムが必要になる。例えば、配布された布マスクを必要としない人たちから必要な人にマスクを渡す、そんなマッチングサイトを誰か開発してくれないだろうか。今回の布マスク配布は明らかに悪手だが、テクノロジーで政府の非効率性をせめて補正できないだろうか」。

具体的で、ポジティブな情報発信の国民民主党

どうだろうか。玉木代表も政府の政策について批判するところは批判しつつも、国民民主党ならこうする、という明確な対案を述べている。この両者の違いは、このほか、大きい。

東日本大震災の時がそうであったように、今回の新型コロナウイルス感染症もまた、日本を襲う国難だ。未知のウイルスという側面と、指数関数的な感染の広がりという恐怖を目の前に、実体経済をストップさせないといけないという難しさに直面している。
 

おそらく、今、誰が総理大臣をやっても大きな葛藤と悩みと不安を抱えながら、日々、それこそ分刻みの決断の連続だろう。そういう状況にある。つまり百点満点の答案が出てくるわけがないのだ。 

権力を担うことの恐れと想像力を備えているのは誰か

その厳しい状況にあることへの想像力と配慮があるか、どうかなのだと思う。枝野代表と玉木代表のtwitterを比較すると、その優しさをどちらが兼ね備えているのかは一目瞭然で、どちらがリーダーとして相応しいか、敢えて言うまでもないだろう。

 

国家の未曾有の危機に直面して、将来、政権交代するとすれば、立憲民主党と国民民主党、どちらが自由民主党のオルタナティブになるかは、この1ヶ月ではっきりしたように思う。もちろん、分かっていたことではあるが、国民により目の見える形で現れたと言っていい。

国民民主党はイノベーション型保守政党へ

2月下旬、立憲民主党副代表の蓮舫氏は、全国の小中高などの休校要請に踏み切ったことについて「こんなめちゃくちゃなリーダーシップはない。すぐ撤回すべきだ」と発言しており、朝日新聞や産経新聞など、新聞各紙にそのコメントが載った。

結果的に、あの時の政府の判断は正しかったということになるが、百歩譲って、あの時点での野党の批判はあってもよかったとしよう。事実、自民党内部からも批判はあった。
 

ところが、だ。4月に入って立憲民主党は「私たちは2月から緊急事態の宣言を求めてきました。遅きに失した」と政府を批判しているのだ。こういうところに有権者は政治への大きな不審を覚える。

いまだ政党支持率の低い、国民民主党だが、政府に対するポジティブな政策発信は必ず、国民の心に届く日がくるだろう。それは立憲民主党とは大きな違いであり、本質的な部分なのだ。