霞が関から見た永田町

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新型コロナウイルス感染拡大に対して国会の行動変容も問われている

緊急事態宣言でも国会周辺の動きは鈍い

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令された。
 指定された東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・兵庫・福岡の7都府県では、外出自粛要請がなされる。また、娯楽施設や商業施設に対しても休業の要請が出されることになる。感染拡大を防止するために、社会活動を出来るだけ抑制することが目指されるのである。

 東京都は感染者も多く、特に対策が必要な地域である。
 しかし、その東京都にある国会周辺の動きは鈍い。例えば、国会の「休会」は予定されていない。

www.yomiuri.co.jp

 

 民主党政権の時に発生した東日本大震災の際には、約1週間、衆参両議長の合意により、国会が「自然休会」となった。
 今回の新型コロナウイルス感染症と東日本大震災を同列に扱うべきではないと思うが、国会審議が行われることで政府や政党はその対応に追われることになることを鑑みると、休会とまでは言わないものの、国会の活動を少し抑制することは検討すべきであろう。
 国会の活動も抑制されれば、それだけ政府も新型コロナウイルス感染症対策そのものに注力することが出来るし、政党にあっては特に職員などの関係者の出勤を抑制することも出来る。

www.jiji.com

 

国会議員にも行動変容が求められている

 新型コロナウイルスは国会議員であっても無差別に感染するものである。幸い、日本の国会議員に感染者は出ていないが、諸外国ではイギリスのボリス・ジョンソン首相をはじめ政治家にも感染者が相次いでいる。
 国会議員や秘書などの関係者に感染者が出ると、国会周辺は比較的閉じたコミュニティであるため、一気に感染が広がらないとも限らない。
 既に大臣室で働く職員に感染者が出ており、安倍総理をはじめ各大臣も決して安全ではない。

www3.nhk.or.jp

 

 この点につき、例えば国民民主党の玉木代表の次のような発言は国会周辺で共有されるべきであろう。

 「行動変容するという意味では、国会も変わらなければならない。不要不急の法案については審議を一度ストップして、当面は永田町、国会、霞が関のマンパワー、リソースを特化すべき。不要不急のヒアリングや会議等は自粛し、コロナ対策、感染拡大防止に全力を傾けていきたい」

www.dpfp.or.jp

 

 国会議員に感染者が出て、そこに新たな対策のためのリソースを割かなければならなくなるとすると、それはまさに本末転倒である。
 玉木代表の発言にあるように、感染拡大防止に全力を傾けるためには、国会も行動変容が求められているのである。

  

国会の会期延長も見据えて

 今回の通常国会の会期は6月17日まで。
 開会当初は東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されていたため、会期延長は避けたいという雰囲気が永田町周辺にはあったと思うが、残念ながら東京オリンピック・パラリンピックは延期となった。

 その延期により、6月以降に何か大きなイベントは予定されておらず、国会の会期延長を妨げる要素は見当たらなくなった。ここで数日から数週間、国会を休会状態にしたとしても、会期延長を行えば失われた審議時間は十分に挽回可能だ。

 本年度の会期中に成立させれば良いといった法案などは審議を先送りし、出来るだけ国会の活動の密度を低下させたい。

 この間の安倍政権下で会期延長は例外的なことであった。この際、新型コロナウイルス対策のために大幅な国会会期延長も辞さないことを与党側から表明して欲しいところだ。