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都議選は都民ファーストの会の大勝 しかし、当選者の大半が自民党、民進党からの寝返りだった!?

 

都議選は都民ファーストの会の大勝に終わり、選挙前は議会の最大会派であった自民党は歴史的な惨敗に終わった。

 

 都民ファーストの会は公認候補として擁立した50名中、49名が当選した。また、公明党は地方選挙での手堅い戦いをここでも展開して、23人の公認候補全員が当選した。

 

 大敗を期したとされる自民党は60名の立候補者で23名が当選、共産党は37名の立候補者で19名が当選、民進党は23名の立候補者で5名が当選、以下、4名ずつ立候補したネットと維新がそれぞれ1名の当選者となっている。それら立候補者と当選者の率を見てみると、公明党都民ファーストの会はほぼ100%、自民党が38%、共産党が51%、民進党が22%、その他が25%となっている。

 

ここで、立候補者の数に注目すると、また少しだけ違った様相が見えてくる。候補者の数で順に見ると、最多は自民党で、以下、都民ファーストの会共産党、続いて公明党民進党となっている。立候補者の数の時点で、選挙の全体の大枠として、自民党都民ファーストの会の構図が出来上がっており、それ以外の勢力は、複数の議席がある選挙区でいかに議席を獲得するのかという戦い方をせざるを得ない状況になっていたのである。結果、7ある定数1の選挙区のうち、6を制した都民ファーストの会が大勝利し、複数議席のある選挙区で手堅く議席を確保した公明党共産党が高い勝率を得たのである。自民党民進党については、複数の候補者が出た選挙区で共倒れになっている例もあり、選挙戦略次第ではもう少し議席数を伸ばせた可能性もあるだろう。

 

民進党については、勝率を見ると22%と大変苦戦を強いられていたことが分かる。

 

しかし、得票について分析を行った以下のサイト

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20170705/1499262171

 

こちらを見ても分かるように、今回の都議選で民進党が候補者を擁立した21選挙区に限定して、これまでの2009年・2013年・2017年の得票数の推移を見ると、2009年から2013年では激減しているものの、2013年と2017年はほぼ横ばいという結果である。今回、厳しい状況の中でも民進党が候補者を擁立できた選挙区には、根強い支持者がいるということもかもしれないが、退潮傾向には一定の歯止めがかかったと見ることも出来るかもしれない。

 

また、文京区選挙区の増子博樹氏、江戸川区選挙区の田之上郁子氏、府中市選挙区の小山有彦氏は各区でトップ当選を果たし、都民ファーストの会の公認も得ているが、増子・田之上は元職、小山は現職で民進党の都議であった。そして、この三つの選挙区では民進党の候補者は擁立されていない。この他にも民進党の地方議員だった者が都民ファーストの会の公認候補として当選している例もあり、単純に立候補者数や当選者数、あるいは得票数といった数字だけを見ていては見えていない動きがあったのは間違いないことだろう。

 

もちろん、同じようなことは自民党にも言えることで、例えば、練馬区選挙区の上位2名の当選者は都民ファーストの会の公認を得ているが、二人とも元は自民党の区議会議員である。この二人の登場を受けて、練馬区選挙区では、自民党の現職都議が次点で落選の憂き目にあっている。

 

以下、都民ファーストの当選者一覧に選挙前の所属政党を付けたものである。

自民党が11名、元民進党が16名いることがわかる。

no 選挙区 氏名 選挙前所属政党区分
1 千代田区 樋口 高顕 都民ファースト
2 港区 入江 伸子 都民ファースト
3 新宿区 森口 つかさ 都民ファースト
4 墨田区 成清 梨沙子 都民ファースト
5 江東区 白戸 太朗 都民ファースト
6 品川区 森沢 恭子 都民ファースト
7 世田谷区 福島 理恵子 都民ファースト
8 渋谷区 龍円 愛梨 都民ファースト
9 中野区 荒木 千陽 都民ファースト
10 杉並区 鳥居 宏右 都民ファースト
11 杉並区 茜ケ久保 嘉代子 都民ファースト
12 北区 音喜多 駿 都民ファースト
13 板橋区 木下 富美子 都民ファースト
14 板橋区 平 慶翔 都民ファースト
15 足立区 後藤 奈美 都民ファースト
16 江戸川区 上田 令子 都民ファースト
17 八王子市 両角 穣 都民ファースト
18 八王子市 滝田 泰彦 都民ファースト
19 立川市 増田 一郎 都民ファースト
20 武蔵野市 鈴木 邦和 都民ファースト
21 三鷹市 山田 浩史 都民ファースト
22 青梅市 森村 隆行 都民ファースト
23 府中市 藤井 晃 都民ファースト
24 町田市 奥沢 高広 都民ファースト
25 小金井市 辻野 栄作 都民ファースト
26 西多摩 清水 康子 都民ファースト
27 南多摩 斎藤 礼伊奈 都民ファースト
28 北多摩第二 岡本 光樹 都民ファースト
29 台東区 保坂 真宏 自民党
30 品川区 山内 晃 自民党
31 世田谷区 木村 基成 自民党
32 豊島区 本橋 弘隆 自民党
33 練馬区 村松 一希 自民党
34 練馬区 尾島 紘平 自民党
35 足立区 馬場 信男 自民党
36 葛飾区 米川 大二郎 自民党
37 小平市 佐野 郁夫 自民党
38 北多摩第一 関野 杜成 自民党
39 北多摩第四 細谷 祥子 自民党
40 中央区 西郷 歩美 民進党
41 文京区 増子 博樹 民進党
42 台東区 中山 寛進 民進党
43 目黒区 伊藤 悠 民進党
44 大田区 森 愛 民進党
45 大田区 栗下 善行 民進党
46 渋谷区 大津 浩子 民進党
47 荒川区 滝口 学 民進党
48 江戸川区 田之上 郁子 民進党
49 府中市 小山 有彦 民進党
50 昭島市 内山 真吾 民進党
51 日野市 菅原 直志 民進党
52 西東京市 桐山 ひとみ 民進党
53 西東京市 石毛 茂 民進党
54 南多摩 石川 良一 民進党
55 北多摩第三 尾崎 大介 民進党

 

グラフにすると以下のようになり、当選者の約半分が元自民党民進党の候補者であったことがわかる。

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試しに都民ファーストの当選者が選挙前の所属政党で立候補して当選した場合の議席獲得数シミュレーションは以下のようになっており、都民ファーストの大躍進は変わらずであるが、民進党議席獲得数は告示前に比べ3倍に伸ばすことも実現可能だったことが垣間見える。

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都民ファーストの会は選挙前から小池百合子政経塾「希望の塾」を立ち上げ、選挙の候補者を募りつつ、都民ファーストブランディングを高めていった。また、巧みに他党の議員を「引き抜き」、相手の戦力を奪いつつ、それを利用する的確な候補者擁立戦略によって最大限の成果を上げていたと見ることが出来るだろう。