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第3次安倍第3次改造内閣は幻なのか。  ―解散にちらつくアメリカの影―

 

 9月28日に召集される臨時国会の冒頭で、安倍総理は衆議院を解散する意向と報じられている。
 国会冒頭での解散自体は以下のような例があり、それ自体は異例とは言え、皆無というわけではない。ここで、いずれの例でもアメリカとの関係で色々とあった内閣であることを記憶されたい。

 

 

冒頭解散とアメリカの関係

過去の国会冒頭での解散例

1966年12月:通常国会の佐藤栄作内閣
1986年6月:臨時国会の第二次中曽根康弘内閣
1996年9月:臨時国会の橋本龍太郎内閣

 

ただ、今回は極めて異例で、憲政史上初とも言われる、新内閣が所信表明を行わないままでの解散となりそうだ。
通常は、新内閣が組まれると、所信表明演説が国会で行われる。現在の第3次安倍第3次改造内閣は国会閉会中の8月3日に成立した。このような場合、秋に通常は予定されている臨時国会、あるいは年明け1月から始まる通常国会で所信表明という運びになり、与野党交えての質疑も行われるところである。

 

考えるに、8月の内閣改造の段階で、安倍総理は臨時国会冒頭での解散を明確には意識していなかったのではないだろうか。この内閣改造から現在に至る一ヶ月ほどの間に、解散の好機と安倍総理が感じた出来事があったのか、あるいは何らかの圧力が内外からあったのか。そうではなく、所信表明を行わずに第3次安倍第3次改造内閣を終わらせるという暴挙をはじめから想定していたのだとすれば、そのこと自体で内閣総理大臣としての資質が強く疑われる。

 

安倍総理の続投では第3次安倍第3次改造内閣は「幻」の存在に

所信表明演説を安倍総理が来る臨時国会で行わないということは、第3次安倍第3次改造内閣は何を行おうとする内閣であるかを国民に対して明確にすることもなく、ただ新たな大臣が任命されただけの内閣として終わることを意味している。本来、そのようなことはあってはならないことである。

 

総選挙の結果、もし自公勢力で過半数を占め、安倍総理の続投となっても、次に成立するのは第4次安倍内閣であり、大臣の構成に変更がなかったとしても、それは現在の第3次安倍第3次改造内閣とは別のものとして扱われる。本当に所信表明を行わないとすると、第3次安倍第3次改造内閣は「幻」の存在として、今後は扱われることになるのではないだろうか。

 

ただ、所信表明演説を行わないことに対して批判されることくらい、安倍総理とて認識しているはずである。それでも行わず解散を強行するには、単に選挙で勝てそうだからとか、野党の質問など受けたくないからといった理由以上の何かが存在しているように思えてならない。

 

解散にちらつくアメリカの影

あくまで推測の域を出ないが、国連でのトランプ大統領と安倍総理の演説の近似性や二人の蜜月関係の演出の仕方を見ると、アメリカとの間で何かやりとりがあったのではないかと勘繰らざるを得ない。解散の話自体、安倍総理がアメリカ訪問中ににわかに報道されるようになったことからも、アメリカの影がちらつく。

 

北朝鮮情勢の進展は急だが、むしろ10月中に選挙を行って、日本側の体制を整えておくようにという話がどこかであったのではないだろうか。解散を明言する中で所信表明演説を行えば、野党からも質問の中でそのような懸念も表明されることになるだろう。

 

第3次安倍第3次改造内閣を幻に終わらせる理由。そこにもう少し注意を払いたいところである。