霞が関から見た永田町

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日欧EPA 情報公開の不十分さと疑念

 

 7月6日、第24回日EU定期首脳協議において、安倍総理はトゥスクEU大統領らと協議し、日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉について大枠合意に至ったことを表明した。 2013年3月の交渉開始からは4年、交渉の前段階の共同検討作業は民主党政権下の2010年4月から行われていたことを考えると、ようやくの大枠合意と言えそうだ。

 

第24回日EU定期首脳協議

 

 このEPAは、文字通り経済連携のための協定ということになるが、日本は様々な国や地域とこのEPAの締結のための交渉を行っている。詳しくは、外務省Webサイトの以下のページに詳しい情報が掲載されている。

経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA) | 外務省

 

 このページを見ると、冒頭に「経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)」と書かれている。FTAは物やサービスの流通を自由に行うことを目指す協定、EPAはさらに広く人の移動や知的財産権の保護や競争政策での連携も目指す協定である。日本の場合、基本的にはEPAの締結を目指して、各国と交渉を行っている。

 

 ことが国同士の交渉事である関係で、交渉中の案件については十分に情報が公開されているとは言えず、例えばEUとのEPAの交渉についても、今年に入って急に大枠合意に至ったという印象が拭えない。

 

 EUとのEPA締結のための交渉については、日EU経済連携協定交渉会合というものが行われてきた。直近では、その第18回会合が本年4月3日から5日まで東京で開催されている。この会合で何が議論されたのかというと、外務省Webサイトには、以下の一行の記載のみである。

 

 「今回の会合では、サービス貿易、知的財産権、非関税措置、政府調達、投資等の各分野について、有益な議論が行われました。」

日EU経済連携協定交渉第18回会合 | 外務省

 

 サービス貿易や知的財産権、非関税措置、政府調達など、いずれも日本国民の生活にも直結するテーマだが、どんなことが交渉されていたのか、この文章からは一切知ることが出来ない。

 

おそらく、アメリカでトランプ大統領が誕生したということが大きな要因となって、2017年に入ってEUとの交渉が加速したということなのだろうが、岸田外務大臣(当時)は、2016年12月にマルムストローム欧州委員(貿易担当)と電話会談を行い、可能な限り早期の大枠合意を目指して、2017年1月に速やかに交渉を開催することを確認し、以降、交渉は加速していくことになる。

 

大枠合意へ向けた最終局面は、第18回会合の後の5月にブリュッセルで行われたとされる非公式首席交渉官会合のあたりということになるだろう。この非公式会合の後、6月30日と7月1日に、岸田外務大臣がマルムストローム欧州委員と会談している。この会談については、以下のように記されている。

 

「双方は、大枠合意は手の届くところにあり、閣僚が政治的指導力を発揮する段階にあるとの認識を踏まえ、建設的に交渉を行いました。交渉では有意義な進展がありましたが、双方が今後詰めなければならない重要な論点がまだ残っています。」

岸田外務大臣とマルムストローム欧州委員(貿易担当)等との会談 | 外務省

 

重要な論点が残っているとされたが、この後の数日で最終的な交渉が水面下で行われ、7月5日に改めて岸田外務大臣とマルムストローム欧州委員が会談した際には、以下のように大枠合意に至ったことが確認されている。

「両者は、今次会談で最終的な詰めの交渉を行い、6月30日及び7月1日の閣僚会談において詰め切れなかった残る重要な論点を解決し、大枠合意に達成したことを閣僚レベルで確認しました。」

岸田外務大臣とマルムストローム欧州委員(貿易担当)との会談(昼食会) | 外務省

 

 数年かけて交渉してきたことが急速に合意に至るということは、どこかで大幅な譲歩が行われるなど、無理があったことも想定される。

 結果として、どのような大枠合意に至ったのかは、以下のような資料が公開されている。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000270758.pdf

 

 EUとのEPA交渉は、共同検討作業が民主党政権時代から進められてきたことを見ても明らかなように、どの政権であっても日本とって重要な取り組みであることは間違いない。しかし、国民の目に触れないところで、大きな譲歩などをしていたりはしないのか。外交の成果を喧伝する安倍政権が外交の成果を取り繕うために無理な交渉を進めていたということがあったとしたら、それは大問題である。