霞が関から見た永田町

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日欧EPA② はたしてEUとのEPA交渉では何を合意したのか

 

先の7月6日、第24回日EU定期首脳協議において、日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉について大枠合意に至った旨は、先日の記事で紹介したところである。
 

 

日欧EPAに関する報道はTPPと比較して皆無である

 さて、EPAについて紹介した外務省のWebサイトには、EU以外の国や地域と締結したEPA自由貿易協定(FTA)の一覧が掲載されている。それを見ると、2016年2月にTPP(環太平洋パートナーシップ)に署名したことも記されている。TPPとEUとのEPAは、大きな括りでは同じものであると言えるが、その報じられ方には大きな違いがある。実際のところ、EUとの間で、どのような交渉を日本政府は行い、どのような大枠合意に至ったのか、詳しい説明もなければ、その概要や問題点を指摘する報道も少ない。

 

各省庁の日欧EPAの大枠合意解説

大枠合意については、各省から解説を行う資料が公開されている。

 

財務省:市場アクセス交渉等の最終結

http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/international/epa/20170707_01.pdf

 

経済産業省:我が国及びEUへの市場アクセスに関する大枠合意結果の概要

http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/file/kogyoseihin-kanzei.pdf

 

農林水産省:農林水産物の大枠合意の概要

http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/f_eu/attach/pdf/index-21.pdf

 

 財務省の資料は1ページ、経済産業省の資料は13ページ、農林水産省の資料は8ページと、それぞれ公開資料にはページ数に差がある。いずれも、その元となるのは、外務省が公開している以下のファクトシートである。

 

各省庁の解説は外務省の資料が大元である

日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000270758.pdf

 

 こちらも全15ページの資料で、「物品市場アクセス」という個別の産品の関税削減・撤廃等については比較的詳しく解説がなされている一方で、「物品以外の市場アクセス」に分類されるサービスや投資についての大枠合意の結果はその詳細が見えにくい。現段階では、大枠合意ということなので、詳細は今後詰めていくということになるのかもしれないが、EUとEPAを結ぶことで国民生活にどのような影響があるのか、この資料からは分かりにくい。

 さらに、ファクトシートの11ページ目以降は、各種ルールに関する合意事項が列挙されているのだが、こちらも、その一覧を読んだだけでは詳細を把握出来るようなものではない。

 今後、EPAの最終合意ということになれば、より詳細な文書が順次公開されることになるだろう。例えば、既に締結済のシンガポールとのEPAについては、以下のサイトに各種の文書が公開されている。

 

日本・シンガポール新時代経済連携協定

 

日本にとってどのような影響がある合意なのかが不明瞭

 ことが交渉に関わるため、大枠合意の段階で公開出来ない事柄も数多くあるというのは致し方ないこととは思うが、「日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート」を見ても、さらには、各省が公開している資料を見ても、「日本が利益を確保した」という点が強調され、日本はどのような譲歩をしたのかが明らかではない。

 

 例えば、経済産業省の資料には、「EU及び我が国の工業製品の即時撤廃率及び関税撤廃率(貿易額ベース)」として、EU側の即時撤廃率:81.7%、日本側即時撤廃率:96.2%と数値のみが掲載されている。果たして、このパーセンテージの差には何があるのか。最終的には両者の撤廃率は100%になることにはなっているが、この差は何に起因し、それが日本とってどのような影響があるのか。

 個別の産品について見れば、日本酒やワインの関税が撤廃出来るので、日本からの輸出がこれまで以上にしやすくなるといった耳触りの良い文章が躍るが、その一方で、日本としては認めたくない点を結局は認めてしまったということはないのか。

 

臨時国会の重要な論点になりうる

 国会閉会中に大枠合意に至ったため、国会の審議を通して、日本とEUのEPAについて検討が加えられるということが出来ていない。臨時国会が召集されるのであれば、これも重要な論点とされなければならないだろう。