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加計学園問題を抱える中、国会閉会となる見通し

本国会も6月18日に会期末を迎える。その会期末をにらみ、共謀罪の構成要件を改めてテロ等準備罪を新設する法案が委員会採決を省略する中間報告という異例の方法で採決されるなど、国会は慌ただしい動きを見せた。

 

 国会の会期は国会法第10条で、常会について150日間と定められている。主に予算案を審議する常会は、通常は1月中に招集されるため、概ねこの6月頃に会期末を迎えることになる。常会の他には、臨時会や特別会というものもあるが、臨時会は秋に二か月程度開かれる。そして、特別会は総選挙後に開かれるため、数日で閉じられる。

 

 常会は会期を延長することが可能である。実際、今国会でも会期延長の有無や延長幅を巡って、与野党で駆け引きが行われていた。積み残しの法案を考えれば、会期の延長ということになるのだろうが、一方で加計学園の問題など、政権にとっては国会での追及が予想される事柄もあり、さらに問題が波及する可能性も考えれば与党としては会期末で終了としたいところでもある。結局、国会を会期末で閉じることが良策と考えて、このまま会期末を迎えることになるようである。

 

 ここで、衆議院のWebサイトに掲載されている国会会期一覧から、郵政解散後の小泉内閣以降について、常会の延長日数を一覧にしてみた。

 

衆議院 国会会期一覧

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiki.htm

 

表:常会の延長日数

年度 内閣 延長日数
2006年 小泉 0
2007年 安倍 12
2008年 福田 6
2009年 麻生 55
2010年 鳩山 0
2011年 70
2012年 野田 79
2013年 安倍 0
2014年 安倍 0
2015年 安倍 95
2016年 安倍 0
2017年 安倍 0

 

 一覧を見ると、延長をする場合は、一~二週間か二か月程度の延長がなされていることが分かる。異例なのが2015年の常会であり、この時は三か月の延長がなされた。そして、この年は、通常は秋に開かれる臨時会が開かれていない。

 

 さらにこの一覧を見て分かるのは、2013年以降の安倍内閣では、常会の延長がほとんどなされていないということである。今国会も都議選などの日程を考えると、延長するとしても小幅なものと言われてきた。だが、最近の安倍内閣を見れば、むしろ延長はしないだろうと見ておくのが正解だったように思われる。

 

 常会については会期が150日間と決められていることもあって、どうしても国会は日程闘争の場になってしまう。多数決になっては勝ち目のない野党にとっては、会期末が迫ると、様々な手段を駆使して時間を稼ぎ、審議する法案を減らしたり、会期末で審議未了により法案を廃案に追い込むという手段に訴えることになるのである。与党は会期の延長も視野に入れながら法案の審議などに当たるが、今回の加計学園の件のように政権にとって国会審議で取り上げられるとダメージになるような事柄があれば会期延長を避ける。

 

会期末に必ず見られる野党による大臣の不信任案や内閣不信任決議案、あるいは委員長の問責決議案の提出は、この日程闘争の一風景である。そのような方法に対して冷ややかな目を向ける人もいるだろうが、野党が使える方法は極めて限定されている。会期末までに残された時間と審議すべき事項、そして会期延長の有無。それらの微妙な比較考量を行いながら、与党と野党は国会においてせめぎ合っている。

 

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