霞が関から見た永田町

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マイナンバーに見る政策の継続性

現在、マイナンバー制度の整備が進められている。

 

 遡れば2009年に政権交代を果たした民主党マニフェストの中で税と社会保障共通の番号制度の導入をあげていたことから、社会保障と税の一体改革を進める過程で、番号制度導入の検討が開始された。そして、民主党野田佳彦内閣の時に、番号制度に関連する法案が提出されたが、これは解散総選挙に伴い廃案となった。しかし、後の第二次安倍内閣の下で同様の趣旨の法案が国会に提出され、与党の他に民主党などの野党の賛成も得て、法案が成立した。以後、その法律に基づき、マイナンバーと呼ばれる番号制度の構築が進められてきたのである。

 

 既に2015年10月から国民一人ひとりに番号が通知され、2016年1月からは、社会保障や税、災害対策における行政手続でマイナンバーの利用が始まっている。合わせて、マイナンバーカードの配布も順次進められており、カードの裏面に貼られたICチップの空き領域については、市町村が用意した独自のアプリを搭載することも認められている。具体的には、印鑑登録証、都道府県立図書館の利用者カードなどとして利用されることが想定されており、そのような自治体独自の利用方法についての検討も進められている。

 

来月からは、子育てに関する行政手続きがワンストップで可能になったり、行政からのお知らせが自動的に届けられたりするマイナポータルの試行運用も予定されている。

 

サービストップ | マイナポータル

マイナポータルは7月試行運用開始、秋頃に本格稼働します。

(まずは子育て関連サービスから開始します)

・税金などの支払ができる

・各種書類が受け取れる

・あなたの情報が確認できる。

 

これは、当初は2017年1月から運用開始予定であったが、ここまで遅れてしまっている。このようなシステム開発の遅れ、あるいは国民の中での認知の遅れもあって、必ずしも当初の予定通りに制度の整備が進んでいるわけではないようであるが、この間に民主党から自民党への政権交代を経ても着実にマイナンバー制度の整備が進められていると言える。

 

マイナンバー制度の構築の中心にいるのは、現在は内閣府大臣官房番号制度担当室長を務める向井治紀氏である。向井氏は2010年から内閣官房内閣審議官(社会保障改革担当)を務め、民主党政権の際には社会保障と税の一体改革でも中心的な役割を果たしており、マイナンバー制度のための法案作成にあたっても中心的な役割を果たしていた人物の一人と目されている。政権交代後もマイナンバー制度導入の陣頭指揮に当たっているのである。その向井氏は、現在は副政府CIO(Chief Information Officer)も兼務している。マイナンバー制度も含めて政府全体の情報化を統括する政府CIOは民主党政権時からその任務に当たっている遠藤紘一氏である。マイナンバー制度について担当している人物という側面から見ると、民主党政権の時から現在に至るまでの継続性が見て取れる。

 

政権交代というと、前の政権の取り組みを新しい政権が全て否定するかのうように思われるところもあるが、実際にはこのマイナンバー制度の件のように必ずしもそういうわけではない。例えば、現在その取り組みが進むオープンデータについても、その始まりは民主党政権の時であり、安倍政権ではその取り組みをさらに加速させていると言える。なお、オープンデータについて自治体での先進事例のひとつとされる横浜市では、総務省から出向していた長谷川孝政策調整担当理事(当時)がその中心として大きな成果を上げていた。その長谷川氏が昨年の7月から内閣府大臣官房番号制度担当室参事官として、マイナンバー制度の普及などの実務に当たっている。このように人事の動きから、政策の継続性や重要性を浮かび上がらせることも出来るのである。